今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第一章逆行した世界

12.万事休す

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人間の習慣とは簡単に消えないモノでだった。
例えは食生活や、日常の習慣は強制しても治すのが困難だったわけで。


「マリー?何をしているのですか」

「あ、お母様」


早朝、母のコレットはマリーを探していたら、何故か作業服を着て土いじりをしている娘を見て冷や汗を流した。


「畑を耕しているんです」

「はっ…畑」

「そうだ、お米も作らないと!」

ポンと手を叩きながらスキップしながら去って行く。


「水車も欲しいしな」

「何故畑…どうして」

コレットは理解に苦しんでいた。


「どうしましたの?お義姉様?」

「リリアンヌ!マリーが畑を耕しているのです!!何故…」

「ああ、辺境地では領民の暮らしを知ることも必要だと、勉強の一環ですわ」

「勉強…そんなことを」


王都暮らしが長いコレットは知らないが高位貴族の中では自ら畑を耕したり、領地経営の為に特産物を開発するべく研究を重ねる貴族も稀にいる。


大体は辺境地に住む百姓貴族がほとんどだが、前サンチェスト公爵夫人は何度も大飢饉を経験したので孫にも百姓と一緒に作物を作る勉強をさせていた。

マリー自身も喜んで一緒に畑を耕したりして領民と仲良くしていた。


「ですが…」

「同じ釜の食事を食べると申しましょうか…厳しい土地では領主と領民が協力し、尚且つ苦労を分かち合うことこそ必要なのです。故に公爵家は質素、倹約に努めて参りました」

「質素…倹約」

確かに、領地では派手な装いをするのは公の場だけだぅた気がする。
ドレスも動きやすさを重視してており、ゴテゴテした飾りは殆どなかった気がした。


「ですが、王太子妃候補が畑を耕すのは…」

「そうですわね、外聞がよろしくないでしょうね」


コレットは頭が痛くなる。
驚きもしたし、ショックを受けたが、否定する気は無いのだが、世間に知られればどうなるか。


「どうしたらいいかしら。あんなに楽しそうにしているマリーに辞めるように言えませんわ」

「お義姉様!」

リリアンヌは驚きながら目を見開く。
もしかしたら無理矢理辞めさせるのかと思ったのだが、コレットは受け入れようと努力していた。

「私も考えましたのよ…いくら親族や周りの声があるからと言って、王都から離れた領地に預けっぱなしにするなんて母親失格だと」

当時はマリーにとって王都は残酷すぎた。
優秀で美しい姉は王太子妃の婚約者候補に選ばれ、風当たりが強いのを気にしていた。


とは言え、リリアンヌに言われるまで、酷い噂が流れているの知らなかった。


「私は今からでも良き母になりたく思います…ですが、公に畑仕事をしているのを知られては立場が」

「ええ…とりあえず王家にバレないようにいたしましょう」

二人は視線を合わせ頷くも時すでに遅しだった。


「たたたっ…大変です!」

「どいうしたのです?」

カンナが大慌てで現れる。

「国王陛下と王太子殿下がお出でになっておられます」

「「なんですって!!」」


最悪の展開となった。


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