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第一章逆行した世界

18.仲良しこよし

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僅かな時間で二人は意気投合して仲良しになってしまった。

「マリーよ、今度は遠出に行くとしよう」

「逢引きですか?」


「「「ブーっ!!」」」


一緒にお茶を飲んでいたアレクシスやリリアンヌは噴き出した。


「そうだな、逢引きだ!」

「陛下、変な事を教えないでください」

「ん?軽いジョークではないか」


豪快に笑うが、絶対に冗談ではないだろうと思った。
唯一解っていないマリーだけは呑気にお菓子を食べて上機嫌だった。

「マリー嬢、これも食べるかい」

「いただきます」

「マリーは本当に愛らしい。カトリーヌにそっくりだ」


うんうんと言いながらご満悦気味の王。


「カトリーヌ様とは何方です?」

「ああ、昔飼っていたクロコダイルだ」


「「ブッ!」」

さらにお茶を噴き出す勢いだった。


「わぁ!ワニさんを買っているんですか!」

「マリー…」


普通は怒る所だが本人は喜んでいた。


「ハハハ!本当に愛い奴だ!」


一般の貴族令嬢ならば普通は怒るか、返答に困るのだが、マリーは一般の貴族令嬢から遠かった。


「しかし、これで私も安心だ」


「安心…と申しますと?」

リリアンヌは冷や汗を流しながら、やはり婚約者の入れ替えはなかったことにしてもらうべきだと思った。


いくら何でも無理だ。
マリーは王妃には向いていないだろうと思ったのだが。


「マリーを正式な王太子妃に迎えたい!正式に婚約式をしたい」


「は?」

「今日は、視察もかねて来たのだが…マリーが気に入った!是非これの妃に頼みたい」


これ以上ないほど豪快に笑っている王に、リリアンヌは苦悩した。


「おっ…お言葉でありますが」

「侯爵夫人、お願いいたします」

「ハイソン夫人?」

「陛下とまともに会話が成立する令嬢は滅多におりません。この際、作法は結構です!どうかお願いします」

王の専属侍女に言われてしまえば断れなかった。


「はぁ…」

「侯爵夫人、私もマリー嬢となら窮屈な王室でも息が出来そうです。何より今の王宮には熱気が必要です。マリー嬢の熱気を伝染させて欲しいのです」

「そんな、病原菌でもあるまいし」

王と王太子にここまで望まれるのは喜ばしいことだが、理由が理由だけに手放しに喜べるような内容ではなかった。



「マリー嬢。いや、マリー」

「はい?」

「こないだの話だが、私は君を妃に欲しい。正式に私と婚約してください」



膝を着き、一輪の薔薇を差し出す。


「えっと…解りました」

マリーはイマイチ理解していないがとりあえず頷き、薔薇を受け取ってしまった。


「あああ…」

「奥様?奥様ぁぁぁあ!」

そして精神的にも限界が訪れたリリアンヌはそのまま倒れてしまった。


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