今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第一章逆行した世界

17.自由過ぎる王

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アクシデントが続き、コレットは精神的にダウンしてしまい、代わりを務めるリリアンヌは今すぐ消えてしまいたい気持ちだった。



「この度は、本当に…」

「よい、侯爵夫人。気にするでない」

「陛下はもう少し気にしてくださいませ!」


一番の元凶は悪びれもなく、お茶とお菓子を堪能していた。


「しかし、この菓子は癖になる味だな…塩気がたまらん」

「ですよね!癖になります」

「マリー…」


まったく反省の色が無いのはマリーも同じだったが、この二人は恐ろしいほどに似た者同士だった。


「マリーや、硬くならなくても良い。親子になるのだからな…どうだ、パパ上と呼んでみぬか?」

「パパ上?」

「そうだ。なんならパパでも構わんぞ」


かなりはじけているが一応は王である。
ただし、現在の国王は決して身分が高い訳ではない。


「なんか恐れ多いです」

「気にするでない!私は元は伯爵家の三男でたまたま容姿に望まれ、体が丈夫でたまたま王になれったラッキーボーイだ。ちなみにマリーはラッキーガールだ」


「陛下、御ふざけもいい加減になさいませ」

乳兄弟はこれ以上ないほど怒っていた。
未来の王太子妃に悪影響を与えかねないので今のうちに止めなくてはと思ったのだ。


「半分は本当であろうが?先代の国王に男が生れなかったから兄が養子に行くはずだったが、体が弱い所為で生贄にされたのが私だ」


「人聞きの悪いことを言わないでください!」

「まぁ、体が弱ければ王宮で生き残るのは難しいからな。その点を考えてもマリーは実に及第点だ。何より窮屈な王宮に新しい風が吹くし、王妃も喜ぶであろう」


「陛下…」

豪快に笑う姿は一国の王とは到底思えない。
敵国では聖人君主や英雄王とも謳われているが、どこからどう見ても陽気な中年男性にしか見えないのだから、公爵家の使用人は疑いの目を持つてしまっても仕方ない。



「奥様…」

「言うのではありません。アスラン陛下はこういう方です」


心臓が苦しいと思いながら紅茶に砂糖を入れていつもより多めに糖分を摂取した。


「お前も相変わらずだな」

「ええ、お陰様で…それで、国王陛下自らいらっしゃるとは…あまりにも軽率ではございませんか」


「そう言うな。何時ものお出かけだ」

ニヤリと笑う王にリリアンヌは遠い目をした。
側にいる側近がこれ以上ないほど哀れに思えて仕方なかったのだから。


「また子供のような真似を」

「お前は老けたな。今度、皺が伸びるクリームを持って来てやろうか?」


「結構ですわ!」


最初こそは遠慮があったのだが、既に主従関係はない。
なんせこの二人は学生時代から勝手知ったる仲であるのだから。


ただし良好な関係ではなく、水と油な関係だった。



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