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第三章悪役令嬢の道
1.前触れ
しおりを挟む王宮にて正式な婚約発表を行われて数か月。
他の貴族にも王太子殿下の婚約者として知らされていた。
現在マリーは燃えていた。
「一流の悪役令嬢になるべく次のプロジェクトよ!」
朝っぱらから大きな声を上げるマリーにまたかと思ったアンナ。
「今度は何を?」
「王太子殿下の婚約者として一流の淑女になるべく悪役令嬢になるべきだわ。そのためにも研究が必要よ!」
「あの…悪役令嬢とは?」
王太子殿下の婚約者として淑女とを極めるのはまだいい。
何故悪役令嬢等と物騒なことを言い出したのだろうか?
「お嬢様、何故?」
「悪役令嬢とは、ヒロインの嫌われ役…けれど、苦言を物申しても手は出さず正々堂々と立ちはだかり、王子様とヒロインの仲を引き裂くの…そして最後は二人の仲を認める誇り高き裏のヒロイン!」
うっとりした表情で本を抱きしめ告げる。
「また、おかしな本を…」
アンナはまたロマンス小説を夜な夜な読んでおかしな影響を受けたと思った。
「お嬢様には無理です」
「今から頑張ってなるのよ。そして王太子殿下にはお姫様と結ばれ、私は二人幸を祝福するわ!」
「いえ、そうでなくてですね」
「その為にも実物を見て研究よね!」
「お嬢様ぁぁぁ!!」
まったく人の話を聞かないマリーは完全に暴走していた。
「来週、沢山の令嬢が集まるパーティーがあるのよ!そこで悪役令嬢を観察して尚且つ研究するの!」
「その招待状は」
「先週、お茶会の後抜け出したんだけど」
「マリー様…」
王族主催のお茶会をこっそり抜け出すなんて何を考えているのか。
しかし、その席ではちゃんとマリーはいたはずだ。
「もちろん影武者も用意したの!すごくない?」
「人形…」
「私そっくりに作って後は妖精の粉をパラパラすれば不思議!私がもう一人完成よ」
「お料理みたいに言わないでください!」
妖精の粉。
それは幻覚と同じ効果がある。
使い方にもよるが、マリーは器用な使い方をして、他者の視覚を麻痺させ、尚且つ等身大の人形を用意してマリー本人だと思わせたのだ。
恐るべき発想だった。
「領地でカカシを作っていたからその応用を使ったの!」
「誇らしく言わないでください!」
「これさえあれば何時でも王宮を抜け出せて、尚且つ安上がり!」
反省する気もないのか嬉しそうに話すマリーにアンナは怒るのを辞めて、抜け出して何をしていたのか尋ねた。
「えっと、お茶会で素敵なお婆様に出会ったの」
「え?」
「すっごくお上品で素敵で、意気投合したのよ。それで馬に乗ってみたいっていうから私が後ろに乗せたの」
「何をしているんですか」
王族主催のお茶会であればそれなりの身分の女性のはずだ。
マリーの話からすれば随分と大らかな人なので助かったと思いきや。
「何処の方です?」
「ウィリッド公爵家」
「あああああ!!」
声にならない悲鳴を上げた。
「マリー様、貴女と言う方は…なんと恐ろしい真似をしたのです」
ウィリッド公爵。
西の帝国の大貴族でもあり、王族直系の血筋を持つ。
「お名前はなんと」
「えーっと、確か…グレイス様だったかな?そうそう、家紋は火の鳥だったわ!」
無邪気に言う、マリーとは反対にアンナは絶望を味わった。
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