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第三章悪役令嬢の道
3.真夜中の計画
しおりを挟むその夜、血圧が上がりすぎて二人は倒れた。
普段から興奮気味だったので医師からはできるだけ心穏やかに過ごすように言われた。
「お母様も叔母様も神経質だから」
「お嬢様、少し違うと思いますが」
普段から口うるさいリリアンヌだが、彼女は決して短期ではない。
常日頃マリーが問題を起こすからだ。
忍耐力があるリリアンヌではなかったら精神的にもおかしくなっていても仕方ない。
「それでは失礼したします。くれぐれもロマンス小説の…しかも恐ろしいジャンルの本はお控えくださいませ」
「大丈夫よ。おやすみなさい」
「はい、おやすみなさいませ」
アンナが去った後、マリーはシーツを剥がす。
「ふぅー、セーフだわ」
枕元に隠すなんてベタなことはせずにシーツに隠していたのはロマンス小説の数々。
「さぁ、情報の整理だ」
愛用の日記を取り出し、万年筆を用意する。
「新しい万年筆…薔薇の模様が素敵」
実はお茶会に参加した時に貰ったものだった。
「いやぁ、お茶会にはあんな美人なお嬢様が沢山いるんだ」
使い心地も良く書きやすい万年筆で文字を書いていく。
「次の作戦は、本格的に悪役令嬢になることと…前世でお姉様と仲が悪かったライバル令嬢と仲良くなることよね!」
実際会ったことはないが耳にしたことがある。
同じく婚約者候補で筆頭だった公爵令嬢で、アレクシスのはとこにあたる人物。
教養が高く、立ち振る舞いも完璧で成人する前から公務をする程の優秀さ。
「仕入れた情報によると、淑女の鑑と呼ばれるほどの優秀さで私と同い年なのに住む世界が違うだ。へー…」
顔合わせをしたことがないが噂ではかなりの美女で、生まれた時から王太子妃になるべく厳し教育を受けたという情報を入手する。
「お姉様とはライバル同士だし…衝突するのも仕方ないよね」
サングリアは典型的なお嬢様であるのは妹の目から見ても解る。
しかも相手は王族で血筋も家格も上でありながら、次期王太子妃として堂々としなくてはならないと気負っていたのだから仕方ないと思い込んでいた。
「そう思うと、すごく気の毒だ!きっと殿下の事が好きで、泣く泣く諦めたのかも」
マリーはシクシク泣きながら想像を膨らませる。
「悪役令嬢の鑑じゃない?潔くお姉様に譲るなんて」
婚約した当初は問題なかった。
そう考えると誰かが、間に入ってくれたと考える方が妥当だ。
「それに、私は直接会ったことはないけど…お姉様に苦言をしたって聞いたし。もしかしたらアドバイスをしてくれていたのかも!」
良いように考えるマリーはさらに想像を膨らませる。
「そう言えば、お姉様は他にも対立している令嬢がいたよね。中立派の貴族令嬢とか…」
後に現れるアレクシスが見初めた少女は、多くの男性の心を射止めたとか。
悪役令嬢になって円満な婚約解消をしてハッピーエンドを目指す傍らで、国の行く末を考えた結果。
さらに無謀な計画を考え出すのだった。
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