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第四章.魔法学園
3.少女
しおりを挟む前世では学校に通えなかったので新鮮な気分だった。
「そういえば、チャールズも同じ学園なのよね?もしかしたら会えるかもしれない!」
学年は違うが同じ学園内なら会おう機会があるかもしれないと思うとウキウキした。
「そういえばお姉様も学園に通っているのよね?特別科なら先輩になるのかしら」
「お嬢様、くれぐれも…」
「解ってるわよ!」
馬車の中で校舎に向かうまでの道のりの最中、校舎の付近で立ち止まる少女をに遭遇した。
「止めて」
「えっ…はい!」
御者は急いで馬車を止め、マリーはそのまま降りて行く。
「お嬢様!お待ちください!」
アンナが止めるのも聞かずにマリーは少女の元に向かう。
「あれ?貴女…」
「あっ、試験の時の」
「私の受験票を拾ってくれた人!」
金髪に青色の瞳でセミロングの髪をした少女には見覚えがあった。
貴族令嬢は髪が長いが、その少女だけは異なっていた。
他の受験生とは雰囲気が違っていたのだが、誰もが試験でピリピリしている中、親切にも受験票を拾ってくれたのだ。
「貴女も受かったんですね。良かった」
「あっ、ありがとうございます」
「折角だから一緒に行きましょう!」
「えっ!」
何かの縁だと思ったマリーは少女の手を引き馬車に乗せようとする。
「あ、もしかして迷惑でしたか?」
「いえ、そうではなく…学園に入れなくて」
「え?」
暗い表情をする少女は部外者と間違われ門前払いをされてしまったのだ。
その一番の理由は制服だった。
指定された制服とは異なっていた。
「私、平民で…制服がまだなくて…それで」
「最低」
マリーの言葉に少女はビクつく。
平民という理由で差別され、門前払いをされた少女は通り過ぎる貴族令嬢にも馬鹿にされていた。
「生徒の顔も知らないなんて、ありえないわ」
「え…」
しかしマリーの最低と言う言葉は別の事を意味しているのだと気づき少女は顔を上げる。
「学園側の不手際なのに、酷すぎるわ」
「ええ、ありえませんね」
アンナの同意する。
「私が抗議してあげるから大丈夫よ。第一、警備員も問題だわ。ちゃんと確認しないで」
「ありがとうございます」
「だから貴女は気にしなくていいのよ、何も悪いことしてなんだし」
優しく手を握られ少女は涙目になりながらもマリーに笑顔でお礼を言うが…
「アンナ、扉が…扉が開くわ」
「お嬢様、入学初日からお止めください!」
これまで多くの美女に出会ったがここまで可憐で穢れのない美少女に出会ったのは初めてだった。
「えっ…笑顔が…笑顔が眩しい!」
「お嬢様…」
馬車の中で眩しさにやられたマリーは胸を押さえながら必死で耐え忍ぶのだった。
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