今日から悪役令嬢になります！～私が溺愛されてどうすんだ！

第四章.魔法学園

6.理由

社交界では未だにマリーの行動を蔑む者は多いが、あくまで派閥の関係もあった。


学園に通う生徒に関しては別だった。


「あの…なんかこの視線…」

「ええ、皆様の妄想の餌食ですわ」

「はい？」


最初こそは社交界と同じ視線だと思ったが、すぐに違うものだと察したマリーにセレシアは包み隠さず告げた。


「現在、王都ではあるうわさが流れておりますのよ」

「噂？」

「ええ、ジョアンナ様とマリー様が禁断の関係であるとか…いえ、正確には、殿下と、ジョアアンナ様にマリー様が三角関係だという説が」

「はい？」


何所で間違えたらそんなおかしな噂が流れるのだろうかと思うも、隣で頬を赤らめるロザリアが笑みを浮かべる。


「ジョアンナ様がマリー様を溺愛なさっているのは社交界では有名な話ですもの。同年代の令嬢ではジョアンナ様とマリー様は恋人関係にあるのでは？と噂されてますのよ」

「いやいや、おかしいでしょ？恋人って」


何時からそんなおかしな噂が流れたのだろうか。
元婚約者でもあるジョアンナとアレクシスが噂の的になるならば理解できると思うマリーだが、何故そこに自分が入っているのだろうかと思った。


第一、女同士で恋愛ってありなのか？とも思ったが…


「珍しいことではありませんわ。先代国王の中にも寵愛を受けた方の中に男性はいましたもの。その逆もしかり」

「えっ…」

今度はリーゼリットが微笑みを浮かべながら代弁した。
片手に持っているのは、最近流行しているロマンス小説で、同性愛が描かれる恋愛小説でかなりディープな内容だった。


「私、百合というのも良いと思いますの」

「リーゼ…そんなものまで」

読書好きなリーゼリットは最近、新ジャンルにはまりだした。
それは女同士の恋愛物語で、巷では百合ジャンルなるものだった。


「第一、女性同士が愛を育んではいけないなんて法律ありませんわ。隠れて美男子を囲んでいる貴族だっているのですから！」

「そうですわね！人は誰しも秘密の花園を持っているものですわ」


「二人共、私も人の事は言えないけど…それ以上はアウト！」


堂々と危険な言葉を放つロゼリアとリーゼリットを止める。


「あの可憐な二人が何で？」

「ええ、そうでうすわね？その原因をお作りになった方の所為ですわ」


遠い目をするセレシアの言葉の意味にマリーが気づくこともなく、噂は尾ひれがついてしまい。


学園全体に広まってしまい、噂はアレクシスとフィリップのクラスまで流れることになったのだった。