今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第四章.魔法学園

7.悩む王子

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広いようで狭い学園内では噂が流れるのはあっという間だった。
特に中等部と高等部は隣だったので、噂なんてすぐ流れてしまうのだった。


「これは由々しき事態だ」

現在生徒会室にてアレクシスはこれ以上無いほど表情を強張らせていた。


「何か問題でもありましたか?またジョアンナ嬢に苛められたんですか」

「私を何だと思っているんだヒューゴ!」

隣で生徒会室でくつろぎながらお茶を飲み優雅なひと時を過ごしているのは、ヒューゴ・クラーク。

父親は近衛騎士団隊長を務めており、ヒューゴ自身も優れた騎士でもある。
二人は主従関係というよりも仲の良い兄弟のような間柄だった。


「なんだ…このいかがわしい小説は!」

「ああ、今巷で流行している小説ですね。百合とかいう…女性同士で愛を育む独創的な物語ですね」

「女同士というのは許そう」

「え?許すんですか?もしかして、そんな趣味が」

「あるか!」

小説を叩き落とし怒鳴るアレクシスは決してそんな趣味はなかった。


「私はそんな危険な扉を開いたことはない!」

「まぁ、真面な恋愛をしてこなかったですしね?」

「お前は私を馬鹿にしているのか」

通常、公の場ではこのような無礼は許されないのだが、二人の関係は主従関係以上だったので許されていた。


「でも、面白い姫ですね」

「おい…」

「なんというか常識の壁を木っ端みじんにぶっ壊し、あげく騎士団からはかなりの人気ですよ?元将軍殿は彼女は騎士としての才能があると申されていましたし」

「冗談じゃない!マリーを騎士にだと…白薔薇の麗人なんて許さんぞ!それで、身分の低い一般騎士と恋に落ちて…あああ!」

「ちゃっかり読んでるんですね…禁断の恋物語」


白薔薇の麗人。
今、手元に置いている百合ジャンルの本同様の内容であるが、女性である貴族令嬢が男装の麗人として生き、身分の低い騎士と許されない恋をする物語だった。


二人は命がけの恋をし、最後は戦場で散り、あの世で結ばれたと言う物語。


「マリーならば美しい騎士になるだろう…」

「だから、あくまでフィクション…いや、でも」

「言うな!」


自分で持ち出しておいてなんて勝手なのかと思うヒューゴだったが、内心では微笑ましく思っていた。


かつてのアレクシスは王太子という立場で雁字搦めだった。
あげく一部の貴族の策略により、母親とは距離ができており、不憫に思っていた。


だからこそ、マリーが成し遂げた偉業の数々には感謝していた。

それが少しばかり型破りな令嬢であっても、ヒューゴにとってはどうでもいいことだった。


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