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第四章.魔法学園
10.裏庭での会話
しおりを挟むその頃、高等部の校舎の裏庭にて。
「チャールズ」
一人ベンチに座り本を読んでいる男子生徒をフィリップが呼んだ。
「フィリップ?」
「ここにいたのか」
「ああ、人の多い場所は得意じゃないからな」
隣に座るフィリップは何を話すでもなく風を感じていた。
人と接するのが得意ではないフィリップからすれば珍しいものだった。
「どうにも、王都の学校は広すぎて戸惑っている。情けないが」
「謙虚だな…そういいながら君は首席だったじゃないか」
「いや…まぁ、嫌いじゃなかったしな」
宮廷貴族の子息、令嬢を抜いて学年一位を取った。
これまでは中等部の首席はフィリップが独占していたのだが、高等部の入試では二点差でチャールズが一位を奪ったのだが、周りからは冷たい視線を受けていた。
「放っておけ、君の努力の賜物だ」
「ありがとう」
嫉妬の視線や、辺境地に住む貴族令息であるチャールズを妬み。
中には、不正を行ったなどと噂を流す生徒もいるので悪趣味だと思っていたフィリップは気にするなと告げる。
「解っているよ…大丈夫だ。他人がなんて言おうと気にする必要はない。そう言ってくれた人がいる。何か言われても笑い飛ばしてやるさ」
「そうか…君の大切な人か?」
「ああ、大切な人だ。もう遠い存在になってしまったが」
太陽を見上げながら感傷的になる。
この学園に入れば、マリーと会えるかもしれない。
これまでのように接することはできないが、直接会いたいと思ったチャールズはこの学園に入ることを決めた。
元より優秀だったことから、推薦されたのもある。
領地内だけではなく王立学園でもっと学び、公爵家の跡継ぎとして恥ずかしくない自分でありたいと思ったのだった。
「その人の事、本当に慕っていたんだな」
「ああ、フィリップにはいないのか?君ほどの男なら婚約者ぐらいいそうだが」
「いや…一応、そういう話はあったんだが」
口数が少ない事と、リーゼリットのこともあって、幼い頃から婚約話は白紙になった。
その上、最優先にするのは病弱な妹だったので、上手く行くものも上手く行かなかった。
「俺は…」
「まぁ、いいさ。君に相応しい女性と出会ってないだけだ」
「そう…か?」
困った表情をするフィリップに優しく慰めるチャールズの笑顔は何処か似ていた。
「チャールズは俺の知っている女性に似ている」
「俺が?」
「ああ、優しい所とか、思いやり溢れる所が…まぁ、あの人は少しばかりぶっ飛んでいるか」
「女性でか…いや、俺の親しい人もだ」
二人はそろって思い浮かべる。
しかし、その女性が同一人物であることを知ることはなかった。
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