今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第五章.悪女と聖女

5.祖母の命令

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ジョアンナが去ってからサングリアは荒れに荒れた。


部屋で暴れ、物を壊し続けた。


「サングリア様!お止めください!」

「癇癪を起すたびに物に当たらないでください!」


止めに来た侍女はサングリアが暴れるのを見て、急いで止める。


「侍女長様!」

「無理やりにでも抑えるのです!」


広い領地でも、音は響くので、他人に見られたらどんな噂が流れるか解った物ではない。


「何の騒ぎです」

「大奥様!」


療養していた祖母、エルヴィーラが車椅子に座ったまま現れる。


「大奥様!」

これまで離れで療養していたエルヴィーラは人前にでることがなかったのだ。


「見苦しいわですわよサングリア」

「お祖母様…」

「自分の巻いた種でしょう?何を嘆くのかしら?貴女は身の程を弁えないからこうなったのです。己の役目方逃げ、重荷を妹に押し付け、あげくの果て領地で何をしましたか?」

「私は何もしてません…何も」

「そうです。何もしなかった。その結果がこれです」

サングリアの言葉を遮るエルヴィーラは厳しい言葉を浴びせる。

「マリーは王都から追放されても一度でも貴女に恨み言を言いましたか?」

「私が悪いわけじゃないのに、どうして!」

「そう、貴女が悪いのではないと解っていたからです。ですが、姉として優しい言葉をかけたことはありますか?馬鹿な息子も同罪ですが…マリーは恨み言を言いませんでしたが、傷つかないわけではありませんわよ」


何も知らないサングリアはマリーの気持ちなんて考えたこともない。
考えようともしたこともない。


「人には向き不向きがあります。ですが、マリーは出来る限りの事を精一杯しました。人は誰もが神より天命を与えられます。大きい、小さいは関係なくてよ」

「なら私は…私は何故!」

「貴女は他者を見下し、愛そうとしなかった。貴女が変わらなければ何も変わりません」


エルヴィーラの言葉はサングリアに理解することができない。
自分の何が悪いか考えても解らないでいた。


自分のして来たことは何も間違ってないと、常に他人の所為にして来たのだから。


「仕方ありません。サングリアを修道院に入れましょう」

「大奥様!」

「なっ…私があんな場所に!」


修道院に入れると言われ唖然とするが、エルヴィーラの気持ちは変わらない。

「心配せずとも行儀見習いの貴族が入る修道院です。そこで心を入れ替えなさい」

「嫌です!何故私が、修道院に入らなくてはならないのです!私は…」

「口答えは許しません」


これまで病床に臥していた祖母とは思えない程気丈な振る舞いだった。
使用人に抑え込まれたサングリアは最後まで悲鳴を上げあがらも、サンチェスト領地でも由緒ある修道院に入れられることになるのだった。



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