今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第六章.逆行した世界で

10.救出

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アネットの行方を探す為、しらみつぶしに探し回った。
頭をフルに回転させ、人通りの少ない場所を探し回ると、かすかに声が聞こえた。


(アネットの声…)


急いで耳を澄ませながら声のする方に向かうと。




裏庭にて。



「いい加減目障りなのよ!」

「フィリップ様だけでは飽き足らず、アレクシス殿下にチャーリー様に言い寄って!」

「平民は節操がないわね」

「そんな…私は」


手紙で呼び出されたアネットは同級生に囲まれ嫌がらせされ、大勢で責められていた。


「第一何よこれ」

「返してください!」


囲んでいた内の一人が紙袋を取り出し逆さにする。


「こんな貧相なお菓子を持ち歩いて…チャールズ様に変な物を食べさせないで!」

「そうよ、あの方はサングリア様の婚約者なのよ」

「人の婚約者んに手を出すなんてどういうつもり!しかも平民が」


そのまま紙袋は捨てられ、地面に散乱したお菓子は形が崩れてしまう。

「こんなお菓子…」

「待ちなさい!」


お菓子を踏みつけようとしていた最中、マリーが息を切らせ現れた。


「マリー様!」

「えっ…」

「どうして!」


嫌がらせをしていた女子達は表情が強張る。


「彼女に何をしているんですか」

「私達は彼女が学園内にお菓子を持ち歩いているのを咎め…」

「そのお菓子は私が彼女に無理を言ってお願いしたのです。文句があるなら私に大言いなさい、この場で聞きましょう」

「そっ…そんな」


「例え彼女になんらかの問題があったとしても、大勢で囲んで責める様な物言いは淑女として恥ずべきことではありませんか?彼女は平民、私達とは勝手が違いますし、知らないなら教えて差し上げるのが筋ですわ」


正論で言い負かすマリーに何も言えない。
普段ならば言い訳もできる余地があるが、今のマリーには威厳が備わっていた。


普段の緩い空気が一切ない。


「私達はマリー様の為に」

「そうですわ。姉君の婚約者をたぶらかそうとしている彼女に注意を!」

逃げ場がないと思っても、自分達の行いを正当化する彼女達に怒りを覚えた。


(チャーリーを誑かす?)


アネットとチャールズが仲良くしているのを目にすることはあるが、誑かすとは言いがかりだった。


「私の従兄までも侮辱する気ですか」

「そんな!」

「チャールズは聡明な方です。不義を働くような真似はしません。何より、誑かされるなんて二人に失礼です。互いに優秀な特待生として勉学に関して議論こそしても、そのような不埒な行為はしておりませんわ」

「ですが、この者は!」


何が何でもアネットを悪者にしたいのか、チャールズに言い寄っていると主張を止めようとしなかったが、マリーは誰よりもチャールズの人柄を理解しているから解っていた。


他人に指図される気は毛頭なかったのだ。



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