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第六章.逆行した世界で
11.悪役令嬢としての覚悟
しおりを挟むいい意味でも悪い意味でもマリーは箱庭の中で育った。
平和な場所で守られるだけの生活をして、大切に守られてきていた。
だが、この時気づいた。
ジョアンナが貴族令嬢としてあそこまで美しく気高さを持つのか。
セレシアがどうしてあそこまで強いのか。
ロザリアが可憐で優美なのか。
(そうよ、皆は既に持っていたんだ)
これまで悪役令嬢になろうとしても所詮はごっこ遊びのようなものだった。
なりたくてもなれなかった。
その理由がようやく解った。
(私に足りないのは覚悟…誰かに嫌われてでも戦う覚悟)
ジョアンナは少々気から社交界で悪意と戦い続けて来た。
だからこそ、あそこまで美しく見えたのだ。
(私はお姉様の言う通りだわ。甘ちゃんだわ)
サングリアに責められた意味が解ったマリーは、アネットを庇いながら令嬢達に立ち向かった。
これまでの悪役令嬢の真似事は止めよう。
本当の悪役令嬢に。
マリーが望む悪役令嬢になるべく振舞ったのだった。
「私に喧嘩を売るとはいい度胸ね?」
「マリー様?」
アネットはマリーの態度に驚く。
今までは悪女の振りをしながらも悪女になりきれていなかった。
まるで背伸びをするような子供と同じだった。
けれど今は違った。
「未来の王妃に喧嘩を売るとはいい度胸です事。お覚悟はできていまして?」
「あっ…私達は…マリー様の為に」
「私がそんなことを何時頼みました?私の為?馬鹿な事を言わないでください。学園内で愚かな行為をして、自分の評価を下げる真似をすると?」
「でっ…ですが」
「私を失脚させたかったのでしょう?はっきりお言いなさいな」
じりじりと迫るマリーに恐れを抱く。
(どうして…何で!)
(この人は誰なの!)
(あのマリー様?)
三人は普段から人が好過ぎて騙されやすいと馬鹿にしていたマリーがここまで冷たい表情をするなんて信じられなかった。
まるでジョアンナのように容赦がないようにも思えた。
「この際はっきり言いますわ。アネットさんは光の魔力を持っているだけで、その実力は彼女の努力です。どんな強大な魔力でも、努力して使えるようにならなければ意味がありません。彼女の功績は彼女の努力の結果です。他人の功績を妬むなど愚かにも程があります!恥を知りなさい」
「あっ…ああ」
「申し訳ありませんでした!!」
マリーの気迫に負け泣きながらその場を逃げて行った。
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