今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第六章.逆行した世界で

12.友達

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去って行く彼女達を見ながら、呆れた。
真っ当な理由を付けながらも、アネットを苛めて憂さ晴らしをしていたのだと。

誰かのためだと言いながら結局は自分の為でしかない事にも気づかされた。


「大丈夫ですか?キャンドルさ…」

「うっ…ううっ…」

(えええ!何で泣いているの!)


アネットを見るとその場にしゃがみ込み泣いていた。
もしかして乱暴な事をされてたのだろうかと心配になる。


「何かされたの?怪我でも…」

「違います…違います」


アネットは緊張の糸が切れてしまい、安心して涙を流した。


そして安心感と同時に罪悪感があった。


ずっとマリーが羨ましくて妬ましく感じていた。

表情こそには出さないが、チャールズと強い絆で結ばれているマリーが羨ましくて仕方なかったのだ。


でも、そんなのは間違いだった。
マリーを少しでも妬ましいと思った自分を心から恥じた。

「お許しくださいマリー様、私はなんということを」


学園に入ってから風当たりが強くとも、楽しいと思うことはあった。
光の魔力を持っている所為で、幼少期から孤独だったアネットは母親とも距離ができて。

故郷でも同じだった。
魔力が発動する前は近所の友達とも仲良くしていたのに、その日常が奪われてしまった。


平民では魔力を持っている者はいない。
人と異なるだけで、恐怖の対象として嫌われていた。


だから学園に来たのに、学園に来ても同じだった。


アネットの居場所は何処にもないと思った。



「私は…マリー様に」

「泣かないで、ごめんなさいキャンドルさん。私が馬鹿だから…もっと早く気づくべきだった。友達なのに…私は」

(友達…)


アネットの涙を拭うマリーの手は優しく余計に泣いてしまった。


「ああ、キャンドルさん!泣かないで…」

「嫌です」

「え?」

何が嫌だったのだろうか。
マリーはもしかして、友達だと言ったのが悪かったのかと狼狽える。

(まさか私の独りよがりだったりして!)

勝手に友達だと思っていても、相手が同じとは限らないと思い落ち込んだ。


「もう一度、名前で呼んでください」

「え?名前?」

「さん付けじゃなくてアネットと呼んでください」


涙を止めながら、アネットは告げた。


友達と言ってくれたマリーの事が好きだと。
本当はずっと好きだった。


でも、友達になるには立場が違う過ぎると思い込んでいたが。

マリーは友達だと言ってくれた。
なら、これから変わりたいと思い、マリーにもっと名前で呼んで欲しいと思った。


「アネット…」

「はい、マリー様」


誰かに優しく名前で呼ばれることがこんな嬉しいことなんて思わなかったアネットは喜びの涙を流した。



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