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第六章.逆行した世界で
20.前世との違い
しおりを挟むどうして何もかも違うのか解らなかった。
違って当然なのに、サングリアは気づきもしなかった。
前世ではマリーは領地から出ることもなく、サングリアは傲慢な振る舞いをしていた。
その結果が、形だけの婚約者に過ぎず。
友人も、形だけの付き合いだった事に気づきもしない。
アネットは前世も今も、自分の手で運命を切り開いていた。
そしてマリーも同じだった。
例えどんな運命だとしても、自分が幸せになるために行動したサングリアと皆が幸せになるように行動したマリーでは違いがあっても仕方ない。
「マリーの所為だわ」
それを、マリーの所為だと決めつけるサングリアは完全に性格が歪んでしまった。
一度歪み切った心は既に軌道修正が叶わない状態になり、更なる悲劇を生むことになっていた。
「あれの所為で…そうよ、出来損ないのマリーが前世と同じ目に合えば道は元に戻るわ」
既に妹に対する情の欠片もなかった。
自分が幸せになる為ならばマリーが死のうがどうでも良かった。
「そうよ、マリーが予定通り病気で死ねばいいのよ…そうすれば私は取り戻せるわ。殿下だって私を!」
笑みを浮かべるサングリアは体から黒い霧が集まるも、本人は気づかずその場を去る。
偶然にもその話を聞いていた者がいるとは気づかずに。
その頃マリーは…
「今頃、アネットとチャーリーは上手く行っているでしょうか」
「まぁ、マリー様ったら」
中等部のカフェスペースでジョアンナとお茶を飲んでいた。
「あそこまでお膳立てしたのですから」
「でも、万一の事もありますし」
「チャールズ様は中々やる方ですわ。ヘタレ一直線の殿下とは違いますのよ」
「それもそうですね!」
ジョアンナの言葉に笑顔を取り戻すマリーだった。
「クシュン!」
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「誰かが噂しているのか」
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「だろうな。お前、本当にダメプーだよな」
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生徒会室で優雅にお茶を他の住むヒューゴを睨みつけながら、山のように積んである書類を片付けるべく奮闘していた。
「おい、お前も少しは手伝え」
「自分の仕事は終わった」
「くっ…」
要領のいいヒューゴは助け気がないのかそのままお茶を楽しみながらアレクシスを揶揄いながら楽しんでいたのだった。
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