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第六章.逆行した世界で
22.調べ物
しおりを挟む翌日、学園内にあるすべての医学書を調べ作ったマリーは、王立図書館にも通うことにした。
ジョアンナにも協力してもらい、一般公開されていない珍しい医学書や過去にあった病気を記した本も見せてもらうことが叶かった。
「しかし、何故いきなり専門書を?医師希望でしたの?」
「いえ、過去の万病を調べておいた方がい良いと思いまして…今後の改革の為にも」
「まぁ!なんてことですの」
マリーは言い訳を考えようとしたが、ジョアンナを出し抜くことは無理だった。
苦しい言い訳になったと思いきや、ジョアンナは心の底から大喜びだった。
「過去の病を調べて解決策を考えるなんて…流石ですわ」
「ジョアンナ様?」
「これこそ、女王の鑑ですわ。私はかねてより不治の病に関して調べてましたのよ」
「本当ですか!」
既に王族がする仕事の範囲ではないのだが、ジョアンナは国の行く末を誰よりも案じていた。
病が流行り、国の存続が危ぶまれることを考えていたと聞かされる。
「一番怖い病は一時期、海の騎士団の中で恐れられた狂血病ですわね」
「狂血病?はい、詳しい書類はここに」
そう言いながら何もなかった手から取り出したのは分厚い本だった。
日誌のようにも見えた。
「ジョアンナ様、それなんですか!」
「嫌ですわ。私だって転移魔法や空間魔法ぐらいできましてよ」
何時の間にか数冊の分厚い本を取り出し、その中でも一番古びた本を差し出す。
「これは、日記ですわ。過去に狂血病を患った方がいますわ」
かなり古く読みにくいがなんとか読めそうだった。
「未だ原因が解りませんでした。最初の発症した方は船員だったらしいのですが…医師も原因が解らずじまいなのです」
「過去に病気にかかった人は船乗りが多い…その後は海近くの人…」
日誌や当時病にかかった人の資料を読みながら、ふと思った。
狂血病にかかった人はそののち一つの療養施設に入れられているが、療養施設の状況は最悪だった。
「当時はまだ、施設とは言っても一つの建物に押し込まれるていたらしいですわ。ベッドも、部屋の環境も不潔だったらしく」
「えっ?食事はオートミールだけ?」
「狂血病を患った患者は食事も受け付けず、食べやすいオートミールだけを食べていたようですわ」
「でも、それじゃあ栄養が…」
「食料もあまりなかったそうです」
病気にかかっても真面な栄養を取ることができなかったと書かれている。
(最初に発症した人は船乗り、その次に船員や船の同乗していた騎士達は船の上で長時間過ごしていた)
マリーの予測は当たっていた。
船乗りの大病とも言われる壊血病にとても似ていた。
そして決定打となる資料を見つけてしまう事になるのだった。
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