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第六章.逆行した世界で
24.心強い助っ人
しおりを挟む数日後、許可はあっさりでてしまった。
マリーは派閥の事もあるが、両家の関係は決して好意的ではなかったと聞いているので拍子抜けだったのだが…。
「外ならぬマリー様のお願いですもの。文句は言わせませんわ」
「ええ、問題ございません」
何故か二人は黒い笑みを浮かべていた。
特に恐ろしいのはロザリアだったのだが、この時だけは聞くまいと思った。
「狂血病は隣国だけの問題ではありません。船乗り達にとっては死活問題なのです」
「まさか、不治の病とされていた狂血病が、栄養失調によるものだというのには気づきませんでしたわ」
二人も狂血病の事は調べていたが、栄養失調という結論までには至ってなかった。
「狂血病は不治の病で無くなれば、多くの方が救われます。国を守ることにもなりますわ。貴族派だとか王族派だとか関係ありませんわ。私達は貴族です」
「そうですわ。特に領地を預かる身としての義務よりもプライドを取るなど愚かですわ」
特にセレシアは辺境地出身でもある事から領主という肩書の重さを熟知している。
辺境伯爵は王族からの信頼が強い分、責任も重かった。
その若さでセレシアは重い責任を負っており、立場を十分すぎるほど理解していた。
また、ロザリアも同様だった。
二人はまだ13歳という若さでありながら既に領主としての気構えができていたのだから。
「ロザリーはお姉様の事もあるわ。大丈夫なの?」
「フッ、口先だけの能無しがピーピー言っても痛くも痒くありませんわ。父の弱みは十分に掴んでおりますで、お任せを」
「時間って残酷ですわね…」
幼少期のロザリアの影は全く存在しないと思うセレシアは表情を強張らせるも、味方であればここまで心強い令嬢はいないだろうと改めて思った。
「貴女も中々悪ですわね?」
「ジョアンナ様には敵いませんわ」
「オホホホ…」
「オホホ!」
二人は優雅に微笑むもその笑顔は最高に黒かった。
「怖いです…限りなくお二人の笑顔が」
「これは、お代官ごっこ」
二人の笑みを他所に、マリーはまたしても頓珍漢な勘違いをしながらも、新たな協力者を得ることがなかったので、急ピッチで研究が勧められた。
王都での研究所を主体として、キャメロン領地で狂血病に効果があるハーブを作り、スペンサー家では開発を行い宣伝するという共同作業が行われた。
そしてジョアンナがお茶会にて、その商品の噂を広める事となった。
見た目も美しく美容効果もあることも噂で流しておけば、美に執着する夫人達は必ず食いついてくると確信があったのだった。
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