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最終章.自称悪役令嬢の果て
12.最後の警告
しおりを挟む――どうして!
サングリアは何度も思った。
何故上手く行かないのかと、何度も思い返した。
(計画通り上手く行かない!)
全てを取り戻し、復讐してやろうと思ったのに、何一つ上手く行かなかった。
前世で自分を粗末に扱った貴族達。
裏切ったアレクシスを廃嫡させてやろうとも思った。
何よりサングリアを失墜させた原因となるアネットには死ぬよりも辛い罰を与えなくてはと思っていたのに。
(どうして…どうしてなの!)
時が戻ってからすべてやりお直し、すべてを変えようと躍起になった結果がこれなんて許せない。
「サングリア、私は目が曇っていた…」
「どうして!何故マリーばかりちやほやするの!私はこんなにも頑張っているのに…何であんな出来損ないが!」
「いい加減にしなさい!」
「だって!」
駄々をこねるサングリアにユーレンは二度裏切られた気分だった。
少なくとも幼い頃はここまで聞き分けが悪くなかった。
「マリーが苦労もなく、今の地位にいると思っているのか」
「だってそうじゃない!魔力も屑以下で、勉強だって容姿だって…」
「お前はそんな風にしか人を見ることができなくなっていたのか。やはり王太子妃の器どころか公爵家の跡継ぎとしても器がないようだ」
「酷いわお父様!」
ユーレンはもう、目の前にいるサングリアに何を言っても無駄だと思った。
これだけ言っても何一つ理解しようともしない。
「マリーが、王都に来てどれだけ頑張ったか。命がけで王妃陛下を看病し、不敬罪を覚悟で殿下と王妃陛下の仲を修復し、社交界では爪はじきに合っているロザリア嬢を守り、強い魔力に苦しむリーゼリット嬢を支えた。マリーは常に相手を思いやった結果だ」
「そんなの、偽善よ。人気取りがしたいだけよ!」
「マリーは王妃の器ではないかもしれない。だが、周りが助けたい、支えたいと思わせるのも才能の一つだ。現にジョアンナ様はマリーこそが王妃に相応しいと言ってくださっている。王太子妃への無礼は許されない」
ユーレンはサングリアへの愛情が無くなったわけではないが、王族派の一員として厳しい決断を下さなくてはならなかった。
「サングリア、悔い改める気はないのだな」
「何故私がそんなことを!」
「そうか、残念だ」
ユーレンは最後の望みをかけたが無意味だったと残念そうにしながら、サンチェスト家の護衛騎士を呼んだ。
「えっ…お父様?」
「娘を寮へ…部屋から出さないように見張れ」
「「「ハッ!」」」
護衛騎士はサングリアを強引に立たたせ引きずっていく。
「何をするの!無礼者!」
「サングリア、今日からは東の寮で監視することにする。二週間後は王都を出て修道院に入る事になる」
「えっ…」
「ここより北の最果てにある修道院だ。厳しい気候で永久凍土と呼ばれる地で一生そこで祈りながら過ごしなさい」
その言葉はサングリアを公爵家から追い出すとも受け取られる言葉だった。
「嫌よ…待ってお父様!」
暴れながらもユーレンに助けを求めるも、空しく悲鳴が響き渡るだけだった。
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