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第一章光の少年と癒しの歌姫
23絶望的な中
打開策として提案された方法は――。
「早くて50年だ」
「そんなに…」
「早く手だよ。それだけ珊瑚が育つのは時間がかかるんだよ」
万一珊瑚を浄化しても成長させるのにも時間がかかる。
海皇を目覚めさせるのにも根気が必要で、現段階では不可能だった。
「もう一つは?」
「それは…」
ジオルドは止めようとするも。
「最悪な方法だ」
「それでも!」
もう他に手がないならばとレグルスは藁にも縋る思いだった。
「珊瑚に器を差し出すんだ」
「器…」
「ようするに人身御供になるんだよ。生贄だ」
ひゅっと息を飲む。
珊瑚に体を委ねると言う意味合いだった。
「珊瑚と一体となる行為だ。しかも普通の人間じゃダメだ」
「それは…魔力が強い人間という事ですか?」
「珊瑚の加護を得ている王族の身を差し出す事だ」
「えっ…」
普通の人間ではなく珊瑚の加護を得ている王族。
そなわち王族の血を強く受け継いだ者が犠牲になる事を限定されている。
「後はセイレーンの血筋や海の恩恵を受け継ぐ者だ…成功する確率は半分だがね」
「そんな!現段階で王族なのは殿下と公女様だけです」
器となれるのは年若い人間であるのが望ましい。
特に伴侶を得ていない身の王族と言えば限られているのだ。
「解っただろ?無理なんだよ…奇跡的に優れた歌姫がいたと沿ても命の歌を捧げなくてはならないんだ」
「命の歌?」
「名前の通り命を捧げる歌さ。成功してもその者は確実に死ぬ」
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「では、このまま待つしかないと」
「リュミエール殿下をお救いする手はないのですか」
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「運が悪かったんだろうね」
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「だってそうだろ?王太子一人守れなかったんだ…とばっちりを受けた珊瑚も、海皇帝も苛んだよ。この後海はどうなるんだい?アンタ達の勝手に巻き込まれた彼等が哀れだよ」
エリーの言葉は最もで、人間の業の為に巻き込まれた海皇帝が気の毒だった。
(レグルス様…)
オンディーヌは顔を俯かせているレグルスを見つめる。
かける言葉が見つからなかった。
「そんな言い方!」
「その通りだ」
「殿下!」
アレクサが反論するもレグルスが止めに入る。
人間同士の諍いに巻き込まれた海底に住まう種族を巻き込んだ事は事実だ。
「海をこのままする気はない、なんとしても解決策を見つける…どんな絶望でもだ」
意志の強い視線を向けるレグルスの瞳には光が宿っていた。
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