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第二章聖女と勇者と巫女
2悲恋の連鎖
しおりを挟む横たわり冷たくなったオンディーヌは眠っていた。
「あれだけ…あれだけ言ったのに」
「なんて事だ」
「オンディーヌ…オンディーヌ!」
水晶でできた棺の中で眠るオンディーヌは美しかった。
まるで眠っているかのようで、死んでしまっているなんて信じられない。
「本来の力を目覚めさせたのかい…ローレライとしての能力に」
「皮肉な事だ」
棺で眠るオンディーヌは女神にも勝る程の美しさだった。
「アンタ!あれ程言ったのに…どわ!」
「レグルス?」
棺にしがみ付き泣いているエリーを突き飛ばしレグルスは棺に触れた。
「何で君が…」
「レグルス!」
棺の蓋を取り、オンディーヌに触れるとまだ温もりを感じた。
「血をどれだけ流したんだ…君が痛い思いをする事はなかったのに」
体のいたるところには傷がある。
痛々しい程の傷に触れながらレグルスは悲しみながら視線を向けたのは短剣だった。
「僕の短剣が君をこんな目に合わせてしまうなんて」
「レグルス、これは運命だったかもしれんな…神話の時代に、ローレライが命を落としたあの悲恋」
「やっぱり人間の男と関わってもいい事はないじゃないか!こんな事になるなら…こんな!」
エリーは少なくとも、レグルスの事はそれなりに認めていた。
笑わなくなったオンディーヌが本当の意味で笑顔を見せることができるのようになったのはレグルスのおかげだったからだ。
その一方で危惧していた事もある。
人間の男に心を奪われてしまえば傷つかないか。
けれど、オンディーヌの嬉しそうな顔を見ると本気で止める事は出来なかった。
「ローレライの悲しい運命なのかね…」
「エリー、泣くな。泣いてもオンディーヌは」
「…がう」
オンディーヌの手を握りながらレグルスはその言葉を否定した。
「運命なんかじゃない。そんなもの…」
「レグルス!何をする気だ」
「運命なんかに殺させない。そんな簡単な言葉で片付けさせない!」
短剣を抜き取り短剣を腕に刺す。
「何してんだい!」
「血が必要なら好きだけ流す…もしこの短剣に加護が宿っているなら!」
レグルスはすがる思いで大量の血を流し続けた。
「止めな!それ以上したら死ぬ気か」
「心中する気か!」
オンディーヌを失った苦しみ故に、自棄を起こしたように見えたエリーだったが。
レグルスは正気をだった。
大量の血を口に含み、口写しで自分の血をオンディーヌに飲ませたのだった。
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