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第二章聖女と勇者と巫女

4歓迎

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神話時代を思わせる様な古い神殿。
周りには美しい魚が泳ぎながら歓迎をするかのように踊っている。


「あっ…あの」

「この度は誠に感謝する。妻を救ってくれた事をなんと礼を申してよいか」

「いえ…」


海底の珊瑚が復活し、海底神殿は本来の姿に戻った。
ポセイドンは心から感謝し、歓迎の宴を催した後にリュミエールにかけられた呪いも解かれて回復に向かっていた。


「ポセイドン様、今回の珊瑚を汚した者ですが」

「ああ、その件についてだが…珊瑚に穢がしたその人間はしかるべき裁きを与える。しかし、クローバー王国の民に手を出す気はない…そして王族にも」

「よろしいのですか」

「うら若き乙女が命を懸けたのだ…余は美女には弱い」

「貴方」

「冗談ではないか」

隙あらばオンディーヌの手を握り口説こうとするが、アムピトリーテに睨まれる。


「だが、クローバー王国の王家は許しても。使い魔に手を出したことは許せぬ。そしてそなたに乱暴した屑共もな」

「え?」

「申し訳ありません。貴女も傷を癒す時に心の中を見てしまったのです。貴女がここに来るまで誰に傷つけられたか…ローレライに危害を与えるとは」

「我ら深海の一族はローレライと共存一族だった。今では関係性は変わっているが…そなたは恩人だ。このまま許すことはできん。何より乙女を傷つける男は万死に値する」

「ですが…」

オンディーヌはキャルティがどうなろうがどうでも良い。
けれど、母国が攻め滅ぼされることは望んでいないのだった。

「海皇様…」

「そなたの慈悲深さは解っている。だが、慈悲をかける場を使い分けなくてはならない。優しさだけでは救えないことがある」

「心配しなくとも貴女が慕う方を陥れる事はしません。ですが、私も女王として譲れない物があるです。どうか解ってください」

「はい」


これ以上はオンディーヌは何も言えなかった。
キャルティは深い考えもなく他国の使い魔に手をだしてしまったのだから。

他にも洗い流す必要がある。

「オンディーヌよ、しばらく療養するとよい」

「まだ病み上がりですから。安静にしてください」


二人に言われ、オンディーヌは大人しく従いながらしばら安静にすることになった。


「オクトパス」

「はぁい」


ポセイドンの側近、海獣のオクトパスが現れる。


「これは余の側近のオクトパス。魔蛸だ。オクトパス、これより姫の世話を」

「おまかせくださぁい」

「おっ…お願いします」

どう考えても男だが、深く追求しないで挨拶をしながらオンディーヌは部屋に案内された。



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