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第二章
14公爵家の歓迎
分不相応と言葉を知っているだろうか。
今現在私とお父様はまさにその言葉が似合うだろう。
「お父様、頭が痛いです」
「言うな。私もだ」
公爵夫人は無事に出産を終えた。
一時は鬱状態であったが、気分展開をしていただき部屋に籠っているよりも散歩をしたり外の空気を吸う様にしていただき、失礼とも思ったけど生まれて来る赤ちゃんの帽子や手袋を編んではどうかと進言すると。
昔から趣味で刺繍を好んでいたらしく気晴らしになったそうだ。
難産ではあったけど母体も無事に出産され、男の子を出産されたのだけど。
「マリー様は私の天使ですわ。お世継ぎを産むことができたのは貴女のおかげよ」
「いえ…そのような」
「いいえ、王族の直系はここ五十年程男子に恵まれませんでした」
確かにここ数年妾腹からしか男子は誕生していない。
公爵夫人の母君の王妃陛下も子供が出来にくい体質で、子宝に恵まれなかった。
だからって…
「産後も体調は問題ありませんでした。本当にありがとうございます」
「そのような」
公爵夫人。
元は王女殿下である方に頭に下げられるなんて。
「エリアナ様、どうか」
「ディアス様にも感謝しなくてはなりません。あの時旅先で貴方様に出会わなければ私は」
「いいえ、そんなことは」
「この御恩は忘れません」
ああ、お父様の表情が死んでいる。
相手は王族だ。
なのに公爵夫人が出産してからも私達は頻繁に公爵家に呼ばれている。
「お菓子はお口に合わなかったかしら?」
「いいえ、滅相もございません」
正直、私達が口にする事はまずない豪華なお菓子だ。
「宮廷料理人とパティシェに作らせたのだけど…後で文句を言うべきかしら」
「食べ慣れてないだけでして。私達にはもったいないお菓子です」
お父様が代わりに代弁してくれたけど。
「まぁ、万人の好む味を引き出せてこそプロですわ」
「はは…そうですね」
厳しい。
オリアナ様は厳し過ぎる。
「先日マリー様にいただいた菓子は本当に美味しゅうございました」
「いえ…あれは」
「また食べたいわ」
領地の特産物の一つ。
ジャガイモのパンケーキだけど、持ってきた後に後悔した。
どう見ても田舎のお菓子だ。
「私、とっても食べやすくてお代わりしたいぐらいでしたわ」
「桃のサバランも美味しくて」
あれも我が領地の節約レシピを改良したものだった。
本当は持って行くのを迷ったけどお母様に勧められ少し飾りつけを豪華にして花弁を散した。
「私桃のサバランが大好きなんですの」
「そっ…そうでしたか」
「ケーキやクッキーよりもサバランが大好きなんです」
結果的にお土産を喜んでくださったのだけど。
正直、私の作ったお菓子なんて宮廷料理人に遠く及ばないのに、小食の公爵夫人は私の作る料理を全て完食された。
その所為で痩せていた体は少しふくよかになった程だった。
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