兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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第二章

15恐ろしき親子





以前から思っていた事がある。
人が集まるのは二通りの人間であるという事だ。


野心を持った人間と野心を持たない人間。
義父とマリーは後者だろう。

二人はこれまで野心を持たずに善意だけで多くの事を成して来た。


「胃が…胃が痛い」

「大丈夫ですか」

「申し訳けありません」

ハインシュ公爵家に招かれ、しばたくしてマリーは公爵夫人の話し相手から友人に昇格した。


「申し訳ありません」

「いいえ、そのような」


正直、これ以上の待遇は胃が痛いで済まない。


「姫様…いえ、奥様は幼少期からお体が弱く学園にもちゃんと通えなかったのです」

「それは聞いております」

「お立場故に普通に教室に授業を受けることも難しく、他の生徒にも色眼鏡に見られておりました」

王族で王女である以上は仕方ないことかもしれない。
だが、友人も心を許せる人が一人もいなかっただろうか。


「ですが奥様は憧れの方がおりまして」

「憧れ?」

「はい、在学中に親切にしてくださった女子生徒がいらしたのです」


王女殿下に親切にする人間は多いだろう。
下心もあるだろうが。


「奥様の身分を知らず、体調を崩し、嘔吐しそうになった奥様にハンカチを差し出してくださった方です」


「そうなんですか」

「ええ、その後ラベンダーの花束を保健室にお持ちくださったのです」


いやいや、待てよ。
確か俺達が二年生の頃に確か。


「その女子生徒はマリー様です」

「やっぱりか」


下級生で体調を崩したのでお見舞いに自分で育てているラベンダーで花束を作り送ったと聞く。
その生徒は体が弱く頻繁に学校を休み、授業も教室で受けられず泣いていると聞いていた。


「度々花束が届きまして」

「あった。そんなことが」


マリーもお節介な所があった。
他意は全くなく親切心でした事なので見返りを一切求めず。


親子そろって自覚なしに助けた相手が王族だった。
それだけならまだしも二人そろって無欲だった事から余計に尊敬の念を抱いたのか。


「奥様に近づく輩は下心を持った人間しかおりませんでした」

「はぁ…」

「後は奥様が病弱で利用できないとしれば見下す者が多かったのです。マリー様だけでした」


いや、たぶんマリーは辺境地で社交界デビューもしていなかったから王女殿下の顔を知らなかったんだろうし、下級生に親切にするのは当然だと思ってただけだろう。


「ですが公爵家にいらっしゃるまで確信はなかったのです。ですがお見舞いの贈り物の品を見てご本人だと確信しました」


「そうですか」


もしやオリアナ様は何処かで知ったのか?
それでマリーを話し相手に選んだんじゃないのだろうか?


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