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番外編
シェパード⑥
しおりを挟む全てが狂い出したのはあの生意気な男が婿に入ってからだった。
同じ食卓にいる事を許さず冷遇して、早々に追い出してやろうと思った。
だが、領民はあの男を慕った。
「アンリ様、おはようございます」
「アンリ様!」
俺よりも先に挨拶をして、ご機嫌取りをする事もない。
遠巻きに見ているだけ。
アンリに対して敬意を持っているのに対して俺には…
だから俺は…
「母上、このままではアンリに我が家を乗っ取られます」
「そうね。あの二人は追い出しましょう…でもあの人が邸にいないタイミングを見計らった方がいいわ」
「はい!」
無能な父はアンリを庇うだろう。
それにこの作戦を知られてしまっては妨害するか、追い出しても金を持たせるなどと馬鹿な事をするのは明らかだった。
だから父が領地を離れて一週間は帰ってこれない日を選び邸から無一文で追い出した。
雨の日に追い出されそのままのたれ死ねば良いと思った。
なのに…
父は俺達を責めて離縁状を突きつけた。
慰謝料を請求するという前に有り金を全ておいて行き身一つで出て行った。
だが、あんな男がいなくなっても変わらない。
むしろ俺は伯爵家の婿入りが決定していると思いきや、縁談は破談となった。
「婚約破棄をさせていただきますわ」
聞けば俺との婚約はあの男がいたからだと聞かされた。
俺自身に価値はないなんてありえない。
ならば社交界で婚約破棄になった事を言いふらしてやった。
なのに俺が責められてしまった。
何故だ。
それ以降、社交界で俺の立場は悪くなり、挙句の果てには爵位を引き継げなくなった。
挙句に公爵家に暴行した噂を流され責任を追及され。
最終的には爵位を奪われてしまった。
全ての原因はマリーの所為だ。
アイツの所為で、俺は将来を奪われてしまった。
だから報復に少し解らせてやっただけなのに!
「おい!ちゃんと力を入れろ!」
「何時になったら真面に仕事ができるんだ」
何故俺がこんな重労働をさせらえなくてはならないんだ。
あの後裁判の後に俺は北の最果ての鉱山に放り出された。
仕事は重労働に真面な食事も出ない日々に俺の精神は限界だった。
母上とは引き離され面会に来る人間は誰一人としていない。
なんて薄情なんだ。
そう思っていたが、その翌日。
弁護士が訪れとんでもない事を告げられるのだった。
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