乙女ゲーム的展開はお断り!私は通行人Aなのに自称悪役令嬢の推しに溺愛されてしまった所為で勘違いされて困っています!

ユウ

文字の大きさ
6 / 21
序章ヒロインの親友として転生

5ゲンキンなヒロイン

しおりを挟む




その夜、アリーシャは直ぐに態度の悪さを謝罪した。
視察にし来た貴族達に心無い言葉を言われ続けた事やこれまでの事で未来に希望を持てなかった事を話すと誰も咎めなかった。


「もういいのです」

「先生…」

「私ももっ考慮すべきでした。貴女の気持ちを考えもせずに」

年長者でありアリーシャに負担をかけた事も否めなかった。
他の子供達の面倒も頼んでいたが、まだ11歳なのに求め過ぎたのかもしれないと反省した。


「馬鹿だなアリーシャ。貴族になってもガサツなお前じゃ無理無理!」

「視察に来るおばさんみたいなごてごてなドレスとかないよな!」

「ちょっと!」


茶化す子供達に涙も引っ込む。

「私は自分の力でお姫様になってやるは!そしてこの世の男達を膝まづかせてやる!」

「アリーシャ!」

「それ、お姫様じゃないわよ」

躾に煩い院長は直ぐに止めるが、何時もの調子に戻ったのでひとまず安どしたリーシエは葡萄パンをかじる。

「うん、やっぱ葡萄パンは最高ね」

「そんでお前は何時もドライだよな」

「そんなのでお腹は満たされないわ」


実に現実主義な性格をしていたリーシェは恋よりも料理だった。

そして最優先はお腹が満たされてこそだった。


「私は農家の人が良いわ。食材を沢山持っている人」

「リーシェは少し女らしさと愛らしさを持って生まれてきた方が良かったね」


さりげなく失礼な事を言う友人を無視して葡萄パンを頬張った。




――所変わってシェーメルス王国の王宮の別邸にて。


「何だと!ルークシオン様が食事をしたと」

「はい…旅先で葡萄パンと葡萄ジュースを召し上がったそうで」

「なっ!旅先で口にされたのか!」


王家に使える老執事が狼狽していた。


「これまで偏食家で何も口にされなかったと言うのに」

「はい…毒見をする前にお召し上がりになられたので驚きましたが。パンからは毒は一切ありませんでしたのですが」

「あまりにも不用心と言いたいが…ルクシオン様の命を救ったのであれば咎められぬ」



老執事ブライアンは悩みがあった。
シェーメルス王国は長い間問題を抱えていたのだ。

その問題の一つとして。
第二王子のルクシオンは大変な偏食家で現在は拒食症状になっていた。

医師にはこのままでは命も危ういとまで言われ、一時王都を出て療養していたのだが。

その療養先近くに頼った時にルクシオンは護衛の目を盗んで行方をくらませた。


その先で体調を崩して倒れた時に親切な少女がと葡萄パンと葡萄ジュースを差し出してくれたそうだ。


葡萄パンと葡萄ジュースを飲んだルクシオンは不思議な事に今まで何を食べても味がしなかったのに、味がした。

彼は偏食家ではなく味覚障害に苦しんでいたのだ。
それ以降、小食であるが少しずつ食欲を取り戻したのだが、まだ栄養が足りずな宮廷料理人を雇いルクシオンに食事を食べさせようと試みているのだ。


「宮廷に出入りするソムリエ、パン職人を呼んだのですが…旅先で口にした葡萄パンと葡萄ジュースには勝らなかったようで」

「なんとしても探すのだ」

「ハッ!」


ブライアンは今抱えている問題を、もしかしたらその人物なら救えるのではないか?と思ったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」 伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。 ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。 「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」 推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい! 特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした! ※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。 サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

男装の騎士に心を奪われる予定の婚約者がいる私の憂鬱

恋愛
私は10歳の時にファンタジー小説のライバル令嬢だと気付いた。 婚約者の王太子殿下は男装の騎士に心を奪われ私との婚約を解消する予定だ。 前世も辛い失恋経験のある私は自信が無いから王太子から逃げたい。 だって、二人のラブラブなんて想像するのも辛いもの。 私は今世も勉強を頑張ります。だって知識は裏切らないから。 傷付くのが怖くて臆病なヒロインが、傷付く前にヒーローを避けようと頑張る物語です。 王道ありがちストーリー。ご都合主義満載。 ハッピーエンドは確実です。 ※ヒーローはヒロインを振り向かせようと一生懸命なのですが、悲しいことに避けられてしまいます。

前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~

高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。 先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。 先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。 普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。 「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」 たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。 そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。 はちみつ色の髪をした竜王曰く。 「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」 番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。 ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。 そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。 「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。 冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。 皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。 小説家になろう、カクヨムでも連載中です。

処理中です...