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序章ヒロインの親友として転生
4本当の幸せは
しおりを挟む世の中の甘いも酸っぱいも経験した前世。
今ははしゃいでいるが、現実をゆっくりと教えるとアリーシャはみるみる真っ青になる。
「嘘…」
「嘘じゃないわ。アリーシャが嫌悪していた男と同類になるのよ」
下町では妻がいながら若い女性に手を出し、妻を捨てた男。
不義を働きながらも自分は悪くないと大手を振っている男も多くいる。
「婚約者のいる男性と恋仲になって周りは貴女をなんて思うの?」
「それは…」
「逆に貴女の恋人が他に好きな人がいると言われ、略奪されて悪女に仕立て上げられたらどう思う?貴族様の事は詳しく知らないけど…貴女は幸せになれるの?素敵な人をみつけて素敵な花嫁さんになるのが夢だって言ってたじゃない」
孤児であるせいで、ずっと馬鹿にされ酷い仕打ちを受けて来た。
だからこそ、何時か必ず幸せになるんだと言っていた。
「お姫様になるのがアリーシャの幸せなの?私はこの町にいてお祖父ちゃんと一緒に美味しい料理を作り続けたい」
「私…うぇっ…」
泣き出すアリーシャは心の内を明かした。
孤児だからという理由で色眼鏡で見られる事。
孤児院に来る貴族や商人から憐れみで見られる日々が苦しくて。
悔しくて。
それでも気丈に振舞いながらも、苦しくて辛かったと。
明るい未来なんてない。
同じ孤児であってもリーシエは毎日汗だらけになりながらも明るい未来を夢見れることが羨ましくて。
そんな思いを抱えながら熱を出したと。
「私はただ…幸せになりたかった。だからここから抜け出せば幸せになれるって」
「アリーシャは不幸なの?」
「えっ…」
辛い日々が多いのは確かだった。
貴族は自分達は町に来ては横暴な行動をする。
先日も貴族の馬車が無理に通ろうとして怪我をした子供がいた。
けれど貴族は怪我をした子供にも気にも留めずゴミでも見る様な目を向けた。
他にも貴族の横暴で傷ついた人は多い。
「貴族になったらもう孤児院の皆に会えなくなるわ。優しい先生やシスターに会えなくてもいいの?」
「…やだ」
「誰かに与えられた幸せなんて、アリーシャらしくないわ。貴女は自分でお姫様になるんでしょ?たった一人の誰かのお姫様に」
リーシアはアリーシャの涙を拭う。
「私が間違ってた。私馬鹿だよね」
「気づいたんだからいいじゃない」
「そこはフォローしてよ」
アリーシャは少し我儘だけど根は優しい性格だった。
幼い子供達の面倒を見る思いやりのある少女だったが夢見がちな所があった。
だからこそ、ヒロインになって幸せになりたいと思う事があっても仕方ないが、アリーシャの幸せは誰かのお姫様になる事だったのだから。
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