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序章ヒロインの親友として転生
11懐かしい味
しおりを挟むサルジュは心配しながらが待っていると。
「お待たせしました」
「これは?」
「フルーツグランになります」
色とりどりのフルーツを使ったグランを見せる。
「そしてこちらはアイスクリームになります」
「え?」
アツアツのグラタンに特製のアイスをソースにすると。
「どうぞお召し上がりください」
「ええ…」
冷たいアイスでグラタンは食べて直ぐは冷たく、中はアツアツだった。
「美味しい…美味しいわ!」
「ヒルデガルド!」
「酸っぱくなくて、固くなくて、熱くて冷たいわ」
眉間に皺を寄せて不機嫌だった少女に笑顔の花が咲く。
「良かった。やっと満足してくれたかな」
「言い過ぎたわ。食べれなくないわ…この程度で合格点はあげられないわね?見た目が地味だし美しさがないわね」
「ヒルデガルド…」
天使のような笑顔を浮かべていたが、すぐに小悪魔の表情になるも、自分の取り分のグラタンを完食する。
「この程度では料理人の腕は解らないわ」
「こちらは露払いでございます。これから色々出て参りますので」
「何?」
ワゴンから出されたのはゼリーだった。
「プリンでございます」
「なんと…これがプリンか」
土鍋で作ったアツアツプリン。
これもソースをかけて食べて貰えるように工夫をしている。
「こちら焼きリンゴでございます」
「バターが入っているわ!」
口ではたいしたことがないと言っているがヒルドガルドは夢中でスイーツを食べる。
「あの偏食なヒルデガルドが…ああ、本当に良かった」
涙ぐむ男性は幼い頃から食が細く、二年前から食事ができなくなっていた。
その所為で何でも良いから食事をさせるように医師から言われるも食べる事を拒絶していたのだ。
「美味しい…お母様の香りがする」
「そうか。姉さんは林檎が大好きだったな」
懐かしい思い出の味が再び食べる喜びを思い出したのだ。
幼くして両親を亡くしてから食卓が悲しいものとなったヒルデガルドが欲しかったのは両親との温かい思い出のあるスイーツだった。
「お嬢さん、ありがとう」
「お気に召していただけたのでしたら嬉しゅうございます」
食べる人が幸せそうな笑顔を見るのが一番の喜びだった。
「お嬢さんは働き先は決まっているのかな?」
「はい?」
「もしよかったら我が邸で料理人として働かないかい?」
思わぬチャンスが舞い降りた瞬間だった。
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