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序章ヒロインの親友として転生
10我儘お嬢様
しおりを挟むアリーシェが町を去って一週間。
日々は当たり前のように過ぎていく中、寂しさを忘れるようにしてリーシェは料理の勉強をしながら店で働いていた。
「リーシェ、休憩をしたらどうだ」
「ううん、大丈夫」
平民のリーシェが約束を果たすには貴族街に行かなくてはならない。
その為には何処かの貴族の家に奉公する方法があるが、通常は紹介状が必要だった。
平民であるリーシェに紹介状を書いてくれる人はいない。
紹介してもらえないならば募集しているお邸に売り込みに行くしかない。
しかし今の所不発に終わっている。
下町出身でまだ幼い理由で実績もないので雇ってはくれないのだ。
「はぁー…どうしたらいいかしら」
「そう焦っても仕方ないだろう」
サルジュの言葉は最もだが、アリーシャが心配で仕方なかった。
(あんな意地悪な使用人が多いのかしら?)
一人の使用人を見てすべて同じと決めるのはどうかと思うがあの使用人のような考え方が大半なんかもしれない。
(どうしたらいんだろう…)
悩んでもいても答えは出ない。
そんな中。
「すまないが、店はやっているだろうか?」
「はい」
店に訪れたのは二十代後半の男性と、八歳ぐらいの少女だった。
「いらっしゃいませ」
「お願いできるかな」
「テーブル席へどうぞ」
どんな時でもお客様に最高のおもてなしをモットーにしているので接客を行うが。
「叔父様、こんな小屋のようなお店でまとも食事ができるの?」
「これ!ヒルデガルド…」
気の強そうな少女の印象が強かった。
「叔父様が私に美味しい物を食べさせてくれると言ったんですよ。なのにどの料理人もお店もマズイものばかり…私は嘘をつく大人は大嫌いです」
「すまないね」
「いいえ、お客様。どのような料理をお希望でしょうか」
膝をつき、何を食べたいか尋ねると。
「酸っぱくなくて、固くなくて、熱くて、冷たくて、ケーキで焼き菓子でもなくてあっさりして濃厚なスイーツを下さる?」
「ヒルデガルド!無茶を言うんじゃない!」
いくら何でも無理がある注文だった。
「この季節で材料は揃わないんだ。しかもそんな…」
「材料がなくともお客を満足させるのが料理人よ。こんな下町でも料理人ならできるでしょ?できないならそれ相応の処分を覚悟なさい」
「ヒルデガルド…」
姪の我儘と横暴さに頭を抱えた。
こんな無茶な要求ばかりするので、邸内の料理人は辞表を出し。
貴族街のレストラン店を閉める始末だった。
「かしこまりました」
「は?」
「リーシェ!」
無理だと思ったがリーシェはあっさり了承した。
流石に無理だと思うサルジュも止めに入るが、リーシェは余裕だった。
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