名乗る程でもありません、ただの女官で正義の代理人です。

ユウ

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第一章

11許せない~フリードside

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俺は由緒正しき家柄のカスケード伯爵家の長男として生まれた。
何代も続く名門貴族であるが、先代の借金の所為で我が家は立ち行かなくなってしまった。

そこで資産家の令嬢と婚約し援助を受ける見返りに俺が人身御供のように差し出された。

相手は下級貴族で金の力で爵位を得た金の亡者だった。
商人貴族如きと結婚しなくてはなたなかった。


婚約者のリナ・ボロネーゼは見た目は美しいがケチだった。
馬車は辻馬車を使うか、貧相な物ばかりだった。


外で食事をしようとしても安い店に入り、貴族専用の高級店に入る事を良く思わない。

どれだけケチなんだ。
商会で稼いでいるのだから良いだろうと思ったが。


「ボロネーゼ商会のお金は私達の好きにできるお金ではありません」


そういって好きに俺に金を使わせなかった。
いずれ全て俺の物になるんだ。

好きに使おうが俺の自由だ。


なのにあの女は小賢しい。
いう事も聞かず、父親も質素な生活をしている。

食事だってもっと豪勢な物を食べれば良いのに無駄遣いをする。


「商会で得た利益の一部は寄付です」


「は?」

売名行為をそんなにしたいのか。
人気取りの為に馬鹿馬鹿しいと思ったが。


そんな時だった。
俺は二人が話しているのを聞いてしまった。


「リナ、今度の寄付はどの程度だ」

「この程度はいかがでしょう。ジェイドが頑張ってくれて」

「そうか。流石だ。君がカスケード家に嫁いだ後はジェイドに任せる事になる」

「ええ、ジェイドならば安心です」


この家の全ては俺の物になるはずだ。

何を言ってるんだ?


「本当はリナが跡継ぎにと思ったが」

「私はカスケード家に嫁ぐ以上は難しいかと。ですがジェイドならばこの家を盛り立ててくれるでしょう」


何を言っている?
ジェイドとはあの不愉快な男か!

俺が命令しても全くいう事を聞かない。



「おいジェイド、今から馬車を用意しろ」

「あちらの馬車はお客様専用でございます」

「使用人の癖に主人の命令を聞けないのか!」

「言葉ですが私の主はボロネーゼ伯爵様でございます」



表情の読めない顔で俺の命令を聞かない。
この家は全て俺の物になるんだ。


俺の言う事を聞かない出来損ないのあの男に嫌がらせをしてやった。


なのにあの男は俺の嫌がらせを交わしていく。
見下すような目で見て、俺が商会の仕事を奪うが失敗に終わる。


「お嬢様、お任せを」


「ありがとうジェイド」

俺の失敗をフォローして俺を更に馬鹿にした。



なのにあいつが。

あんな男がボロネーゼ家の後継者だと?
全て俺の物となると思っていたのに、こんな事許されるはずがない!


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