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第一章
12悪魔の囁き~フリードside
しおりを挟む契約違反をするなんて許せなかった。
結婚後は俺にすべてを譲るはずだったのに何故だ!
「ジェイドが我が家の跡継ぎになってくれるので私は安心して嫁げます」
「ああ、カスケード家に援助するのが条件だったが、我が家のやり方とは異なるからな」
「ええ、私の仕事もジェイドに引き継いでもらって、資産も彼に」
「解っている」
リナの財産もあの男にだと!
これで損じゃないか。
俺はこの家の財産が根こそぎ手に入ると思って、我慢したんだ。
なのに!
「結婚してもお別れではありません。ライバルになりますが」
「そうだね。少し寂しくなるが、ジェイドは私が手塩にかけて育ててたんだ」
「解ってますよ」
あんな平民の男に目をかけるぐらいなら何故。
何故俺にもっと優遇してくれないんだ。
金を貸して欲しいと、援助を増やして欲しいと言っても頑なに断られた。
『必要な援助はしている。君も商会の息子なら解るだろ』
『これ以上は無理ですわ』
夫婦そろってケチだった。
稼いでいるんだから少しの散財ぐらいいいじゃないか。
何をするにしても経費節約だと馬鹿な事を言って自分達が使う金は極力無くしていた。
豪華な食事をして、良い物を着て。
豪華絢爛な裕福な暮らしができると思っていたのに何故だ。
俺が貧相な生活を非難すると顔を顰めた。
俺は正しい事を言っているのに。
なのにどうして解らない。
「可哀想なフリード」
「ルーナ」
俺の憤りを理解した彼等に対して俺の味方だった。
「リナは何も解ってないのよ。貴方に逆らうなんて」
「ああ、愛しいルーナ。すまない」
あんな可愛い気のない女、金がないなら願い下げだ。
我が家に援助し、持参金がある程度は用意できるから仕方なくだ。
「まさか、血の繋がりもない卑しい身分の男を後継者にするとは」
「平民を後継者にするなんて最低ね」
全くその通りだ。
奴等は俺達と同じ人間じゃない。
なのにボロネーゼ家の連中は何も解っていない。
「リナの奴は自分の資産はあの男に譲るそうだ。花嫁道具は母親のお下がりだそうだ」
それでは困る。
持参金の金が少なくなるじゃないか。
「これでは計画が台無しだ」
「そうよ…」
莫大な資産が手に入ると思っていたのに俺の物になるのは持参金と婚約祝いに送らる新居だけじゃないか。
最近は援助の金額だけでは足りないんだ。
「だったらいい方法があるわ」
「え?」
「あの女を婚約破棄してしまえばいいのよ…それもあの女の財産を根こそぎ奪って」
不敵に微笑むルーナ言葉は甘い囁きだった。
俺は耳を傾けルーナの考えに乗ることに迷いはなかったのだった。
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