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第一章
15罠ルーナside
しおりを挟む私はあの方の命令のまま、リナの手帳を盗んだ。
「あったわ。この日」
「よし、その日に決行しよう」
王都から離れている日を確認して私はリナの洋服を盗み、髪を染めた。
つけ毛では証拠を完全に隠せないから闇市で薬品を買って髪を染めて変装をした。
特殊なマスクで、顔だけはそっくりになる。
髪の毛をリナと全く同じ色に染めて、へアレンジをすれば完璧だわ。
そしてフリードにはあの見習い執事と振りをさせて夜の町を腕を組んで歩き人目のつくようにいちゃついて一泊した。
不義を働いたとなれば、リナは多額の慰謝料を支払わなくてはならなくなる。
だけど、それだけではダメ。
婚約破棄をする前にリナが悪女だと噂を流さなくてはならない。
慰謝料を沢山ふんだくって、尚且つあの女の独占権利書と工房の権利。
そして職人を奪わないと。
少しの噂が命取りになる社交界で噂は直ぐに広まった。
婚約破棄を大勢の前でした時のリナの表情はないわ。
「ああおかしい!あの顔を見た?」
「ああ、滑稽だ!泣けばもっと良かったのに」
「最後の意地でしょ?」
あそこでもっと暴れて泣き叫ぶようにか弱くも親友を許す健気な令嬢を演じたのに、必要以上に責めなかった。
だから睨まれて怖がるか弱い素振りを見せた。
これで終わりだと思ったのに。
あの女はしぶとかった。
ボロネーゼ商会の使用人は誰一人として辞めなかった。
「私達は旦那様に恩があります」
「例えどうなっても裏切りません」
「お嬢様は清廉潔白な方です!きっと誰かがお嬢様を罠に」
「そうだ!」
特に厄介なのがギルドに属する年寄りだった。
「誤算だ。工房長が俺達とは完全に縁を切ると」
「それじゃあどうするの!」
万一店の権利を手放し、デザイン画や型紙を奪えたとしても工房が手に入らない。
仕入れ先の生地を取り扱う商会もリナの婚約者だからとこれまで付き合っていたが婚約破棄になるなら関係を絶つと言われてしまった。
私は再びあの方に相談したら。
「ならば簡単な方法だ。商会を完全に潰せばいい」
「でも…」
これ以上どうするの?
「消えて貰うんだよ、あの娘に」
「え?」
あの方に聞かされたのは恐ろしい内容だった。
偽装自殺をして、ボロネーゼ家を潰す計画だった。
「大事な娘が自殺をすればどうなる?遺書も用意してな」
「そうか。そうすれば!」
「そうだわ!」
迷いはなかった。
死んだとしても私の役に立てるんだから幸せでしょ?
ずっと友達でいて上げたんだから迷惑料として当然の報酬よ。
だから私は言われた通りに渡された薬を飲ませた。
その後に指示されように細工をして自殺に仕立て上げたのだけど、その日見回りに来た使用人が現れた事で誤算が生じた。
だけど昏睡状態が続き、結果的には同じだった
そしてリナの訃報が知らされた。
リナが死んでくれたのだと。
これで私達を邪魔する者はいなくなったわ。
カスケード夫人はお祝いを兼ねてフリードと私の婚約パーティーを開いてくれることになった。
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