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第一章
10聖女追放
しおりを挟むご丁寧に隣国の勅使も集まっている事から他国にもジュリエットを晒し物にして逃げ場を無くそうとしているのが解る。
この場で聖女の品格が無いと判断されればどうなるか解っている。
聖女の称号を奪われた場合、神殿に幽閉され、永遠に利用されるか、追放だった。
そんな中、オルヴィスが声高らかに言い放つ。
「このような女に国を守る聖なる乙女などありえない。この偽物めが」
指を差してジュリエットを糾弾し、責め立てる。
「最低ね」
「お可哀想な殿下…あんな女に騙されて」
「そもそも聖女の貴賓がありませんものね」
王太子妃の座を狙っている貴族令嬢達は口々に言い放つ。
「聖女の結界が壊れれば他国にも影響します。どの責任をどうなさる気か」
声を上げたのはハクセンス王国の使者だった。
「我が国にも影響が出るとなれば、約束を違えることになりますな」
ハクセンス王国から援助を受けているバイルン王国は赤字だった。
他国からの援助を受けられなくなれば更に金銭的困難になるがそれ以上に政治的にも厳しいものとなる。
「こんな事態を引き起こすとは…」
「もはや、責任を取らせねばなるまい」
国王の表情を見逃さなかった。
オルヴィスの密かに口元に笑みを浮かべていたのだ。
「お前には聖女の資格はない。聖女を名乗るな!」
大勢の前で宣言され、ジュリエットはゆっくりとオルヴィスを見つめた。
「承知しました。すべての責任を取り王宮を去ります」
「は?」
「隣国にまで影響が出た以上は隣国にて結界を敷きます。どうかお許しください」
「は…何を」
「祈りの力が弱まって私の所為です」
予想外の事に周りは言葉を失うのだが…
「良かろう」
オルヴィスは唖然として直ぐに止めようとするも、ハクセンス王国の使者は頷く。
「貴女が我が国来て償いをしてくれるならば許そう」
「ありがとうございます」
間に割って入る暇もなく話は決まり、ジュリエットはオウルヴィスに告げた。
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