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第二章
2子爵令嬢の事情①
しおりを挟む王都からそれ程離れいない場所に領地を持つペイメル家。
イライザの実家に当たる子爵家は元は宮廷貴族の一員だったが多くの財を得て資産家になった後に領地持ちの貴族となった。
イライザは子爵家のご令嬢であるが、蝶よ花よと大切に育てられたわけではない。
むしろ父親は野心家で兄も妹を道具にしか思っておらず浪費家の二人にとって我が家から聖女が誕生した事は何より喜ばしかった。
その理由は聖女となれば王太子妃となれるという理由だった。
二人にとってイライザは利用できるだけの道具で愛情も一切なかったのだ。
ペイメル子爵家は壊れかけた家庭環境で、母親は病死となっているが夫の浮気癖が酷く。
愛人に毒殺され殺されたも同然で、父親も兄も女は利用されて当然という考えを持つ故に幼少期は二人に酷い罵声を浴びせられて来た。
家族の温かみ等一度だって感じた事が無いイライザは邸から出れる。
聖女になればお姫様になって誰よりも大切にされると思っていたのだが現実は違う。
「回復魔法も使えなくなっている…どうして」
一人部屋にてぽつりとつぶやく。
結界が崩壊し、聖女の力のほとんどが消えかかっているイライザは日に日に追い詰められていた。
「何で…何でよ!」
「イライザ様!お止めください」
「煩い!」
部屋で暴れるイライザは侍女が止めるのも聞かずに暴れ回った。
侍女達は怯えるばかりでどうする事もできなかった。
そんな最悪な最中に。
「イライザ様、ぺルメイ子爵様が面会にいらしてますが」
「いいわ。部屋を直ぐに片付けなさい私が戻るまでに」
「えっ…」
既に部屋の中は硝子の破片が飛び散りめちゃくちゃな状態だったがそれを一時間で片付けろなんて無理な話だったが他の侍女は早々に逃げて残された一番下っ端の侍女は一時間で掃除をする事は出来なかった
「掃除もできないの!役立たず」
「申し訳ありません…ですが一時間では」
「仕事も満足にできな癖に言い訳しないでよ!今すぐ私の前から消えなさい!」
理不尽な命令に何も言い返せなかった侍女はそのまま王宮から追い出されるようになるも、イライザのイライラは止まる事はなかった。
そしてまた一人、また一人と侍女が辞めて行き侍女の数が減ってしまっている事にも気づかずにイライザは自分の置かれている状況に気づく事もなかった。
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