聖女に恋する王太子の身代わりで侯爵家の婚約者(仮)になりましたが、婿に望まれたので今更後悔しても遅いです!

ユウ

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第一章侯爵令嬢の婚約者(仮)

閑話3とある伯爵のため息

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アレンゼール王国には国を守る四つの四大辺境伯爵家が存在した。
通常どの国も共通しているのが辺境伯爵家は侯爵家よりも階級が上だった。

しかし時代の変化と、宮廷貴族の勝手な考えにより若い世代の間では階級を勝手に思い違う者もいる。


特に戦争を知らない世代から成り上がった貴族等は辺境伯爵家を見下す考えを持っていた。
現在でも外で戦争はしていても国自体が戦争の火の粉を被らない状態では、辺境伯爵は田舎貴族と馬鹿にしていた。


国の税金も王都が潤う為に辺境地への軍事に使うことはなく。
一部では辺境伯爵家の衰退を狙う者がわざと辺境地への軍事費用を削っていた。


貧しい中で辺境地は国を守り、民を守り、敵国からの侵入からも守って来た。

王族の最後の守りとしての誇りを持っていたからこそだ。


しかし――。


「もはや、これまでか」


一人の貴族が手紙を見つめながらため息をつく。


ユンロ・シンパシーは今の現状に頭を抱えていた。


「王族も貴族も勘違いをしている」

「シンパシー伯爵」

「クレイン伯爵」


彼に声をかけたのはアレクシウスの父のクレイン伯爵だった。


「遠路はるばる来ていただき誠に申し訳ありません」

「どうか、そのような」

「本来ならば私が直接伺うべきでしたのに、申し訳ありません」

再度深々と頭を下げるシンパシー伯爵。
彼は王都内でも資産家としても名高い貴族で国王に直接謁見できるほどの地位にいる。


ある意味ではその辺の爵位だけ立派な貴族よりも格上になる。
しかも実家は公爵家であり、現教皇猊下の甥に当たるので王族の親戚ということになる。


本来ならば頭を下げるのはありえないのだが…


「この度の干ばつの為に奔走していただきまことにありまがとうございます」

「いいえ、この程度なんでもありませんよ」

数年前から干ばつが続き、国内各地で不作が続き作物が取れなかった。
そして今度は薬草も全く取れなくなっただけでなく、家畜が大量に病気になり処分をしなくてはならなくなった。

作物が育たない状況で家畜も失い領民達を食べさせることが困難だった。
いくら資産家で事業をいくつも手掛けていても食料が手に入らないのであればどうにもならなかったのだが。


そこで名乗りを上げたのはクレイン伯爵だった。
王都では穀物を食するのは野蛮だと馬鹿にされているが、辺境地では普通に食している穀物を大量に生産していた。


特にクレイン領地は大豆や米等を多く生産しており、現在はパンを作る時も全粒子を使っている。
一等小麦粉と違い、価格も抑えられ栄養価も高く。


先日不治の病の治療にも適していた。
しかし昨日今日で米が作れるはずもなく、十年以上穀物の研究をしていたクレイン伯爵だからこそ成せたのだ。


「おかげで病にかかった領民も救われました」

食料困難な今、大勢の貴族はできるだけ食料を確保し自分の手元に置き高値で取引に持ち掛けたりする。
悪徳商人等はもっと酷いのだ。

現在王都が一番被害が多く。
辺境地も影響は受けていたが彼らは常に戦争に備えて食料を調達していた。

そのおかげで薬草も食料もそこまで困らなかったが、他所に与える余裕はないのだ。
そんな中でもクレイン伯爵は快く自分達の取り分を分けてくれたのだ。


「貴方は十年間、息子を陰から助けてくださった」

「私ができたことは僅かです」


十年前の事件を思い出すと胸が張り裂ける。
行儀見習いとして預かりながら、ジルベールに目をつけられてしまったのだ。

あの時の自分を今でも後悔している。


「危険を承知で王宮に同行していただいたことも…その後も手紙が届くようにしてくださったことっも感謝しております」


優しく微笑まれ、余計に胸が痛んだ。









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