義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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95戦場の戦士

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集められた医療班と共に私達は戦場で奔走した。
戦場とは多くの患者が集められた医療施設で、感染を危惧した役人が隔離した場所だ。


「参りましょう」

「「「はい」」」


私と医療班に騎士団の皆さんの協力でベッドで横たわる患者に薬を入れる。
飲み薬ではなく東帝国でも容易られる医学療法。


「点滴の速度を注意してください。量を増やすのはゆっくりと」

「はい…」

「末期の方は別の点滴を入れます。水分が体が抜け落ちている方は通常よりも早くいれなくてはなりません。股の付け根に」


私は薬品以外にも西洋医学のスキルを磨いていた。
王都に来てすぐの頃に、侯爵夫人が学ぶ機会を与えてくれた。


ただし私はメスを持つ事はない。
麻酔や薬品に関してが専門であるのだけど。


「先生…母は」

「今薬を入れております。中の毒を抜かなくてはなりません」

「助かるんでしょうか」


もし優れた医師ならば大丈夫と言うのだろうか。


「母君は高齢で、既に血液の中に悪い毒が入っています。新薬を入れて、抜けた水分を入れて内から外に出すのは時間がかかります」

「それじゃあ…」

「万一毒を抜いたとしても元の体に回復できるかは私達ではありません」

「え?」


そうだ。
元気になる為に必要なのは最高の医療ではない。

「この世に万病に効く薬はありません。その為に医師が心血を注いでおります」

「医者は神ではありませんからな」


仏の医師とよばれる老先生が告げる。
まさにその通りだ。

命を救う仕事をしている人は自分が神になった気でいる人が多いけど。


「病気を取り除いても、元の生活に戻れるかどうか。回復を見込めるかどうかは母君の体力と根気に、家族の支えが必要不可欠ですよ」

「先生!」

老先生は医師としても人としても優れた人だ。
力のある言葉だった。

みせかけの慰めではなく、本当に患者を救いたい思いが伝わる。


「病気と闘う為私達も最善を尽くします。ですが家族の方が傍にいることが一番の特効薬です」

「先生、お願いします。母を…母を助けてください」


藁をもすがる思い。
大切な家族を守りたい思いは強いはずだ。


だからこそ私達も戦わなくては。



「アリア、もう遅いんだ」

「大丈夫です。夜の巡回に行ってきます」


昼夜問わず寝ないで看病を続ける日々が続いた。
真夜中にも急変する事があるので常に灯を消さずにランプを持つ私をいつしか。



「ランプの貴婦人だ」

「ああ、ランプを持った天使だ」


「いや、聖女様だ」


患者から尊敬の念を抱かれるようになるとは思わなかった。


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