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129疫病神の元妻~エセルバートside④
しおりを挟む僕の言葉は後に暴言と受け取られてしまった。
慰謝料を請求されることはなかったが、社交界でも噂になり僕は完全に孤立した。
これまでは同情的だった下級貴族もその噂を知って僕を汚い物を盛るような目を向け。
その一週間後。
王家から爵位剥奪と領地没収の命令が下った。
それだけでは済まず、王都に住まう事が難しくなっていた。
「貴族籍を除籍ってどういうことなの!」
「そうよ。毎日のようにこんな手紙が」
督促状が毎日のように届き、外でに出れば石を投げらえるようになった。
そしてその数日後に執行人が邸に乗り込んで来たのだ。
邸を奪われ、調度品も馬車もドレスも全て奪われて放り出された僕達は領地に戻ったが。
その生活は地獄だった。
以前暮らしていた邸を売り払い狭い別邸に移り住むことになったが。
使用人を雇う余裕もなく。
病気の父の面倒を僕が見る羽目になった。
「何で僕がそんなことを」
「まぁ、長男の癖に酷いわ」
「そうよ。そもそも王都に住めなくなったのは誰の所為よ!全てお前の所為でしょ?お金も稼げないんだからせめて父親の面倒を見なさい。そして何としても遺産を多く残して貰えるように遺言を書かせなさい」
なんて奴等だ。
今度は僕を利用しようとしているのか!
第一遺産は長男である僕が全て貰うのが常識だろう。
「父上、体を…」
「誰だ?ミリーはどうした?」
唯一父上の世話をしていた召使だった女だが邪魔なので解雇にした。
「あの女は解雇した。もう雇う余裕はない」
「何を言っているんだ」
「食事を…」
とにかく父上の機嫌を取ろうとしたが、食事は一切受け付けず。
それどころか喉を詰まらせたり吐き出したりと散々な目に合った。
病は悪化し物忘れがひどく僕達を認識できない状態になっていた。
「誰か!泥棒だ!お前達は誰だ!」
「父上僕だ!僕!」
「今はやりのボクボク詐欺か!」
こんなやり取りが続き、僕の精神は疲れ切っていた。
時には苛立ち、拘束をしたが隣近所の住人に見られて責められることになった。
王都に戻ろうにも居場所はない。
爵位もないし、社交界で噂を流されている。
しかも冤罪で僕はアリッサ…いやエンジュを殺そうとしたと言われている。
しかし、今最悪な状況下はまだ序の口とは知らない。
平民が貴族に手を出した場合、どれ程重い罪になるか解っていなかった。
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