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第一部目覚めた先は巻き戻った世界
32.新たな道筋
しおりを挟む私立メトロ学園。
歴史は古く、学園長は元宮廷魔導士。
最古の魔導士と言われ実際年齢を知る人間は少ない。
政治的にも発言権があり地位は公爵と同等の地位を与えられており。
学園内では一切の権力も通用せず、完全な実力主義。
「私も行きます!!お嬢様お一人だなんて無理です!!」
「‥‥‥」
涙ながら訴えるセレナ。
一人学園生活を送るなんて無謀だと反対する。
「クニッツ様もなんとか…」
「荷造りはもう済んでいますので問題ありません」
ボストンバックに寝袋まで用意している。
「流石に生徒としては無理ですので」
((野宿する気だ!!))
着いてくる気満々のクニッツに愕然とする。
「王都以上に、非常識な貴族も多いでしょう。その時はお任せを」
剣を握るクニッツ。
この国で一番冗談が通じない男がいるならばクニッツしかないだろう。
「いや…あの」
「では私は寮母さんとして潜入を。そうすれば不届きな輩を瞬殺できますわ!」
二人ともついている気満々だった。
「物騒なことは言わないで」
「噂だって消えたわけじゃないんです!!」
「そうです。万一の時は私がブスッと」
セレナはともかくクニッツは本当にやりかねない。
社交界で未だにエステルのことを面白おかしく噂をする人間がいる。
「学園生活でもお嬢様が晒し者になるなんて耐えられません!」
「だから何でそうなるの」
子供のように泣き出すセレナを宥めるが一向に泣き止む気配はない。
「元から社交界では評価が最悪だったのだし、これ以上悪くならないでしょ?」
「ああ!前向きになってくださったかと思ったのに!やっぱり後ろ向き!」
「だから…」
一向に話しが進まず困り果てる中ヴィオラが部屋に入って来た。
「エステル」
「お母様」
「まだやっていたのセレナ」
「奥様!」
泣いているセレナにハンカチを差し出す。
このやり取りを何時までも繰り返すわけにもいかない。
「エステル荷物の方なのだけど」
「はい」
「馬車7つに分けたけど少なかったかしら?」
「はい?」
聞き間違いだろうか?
「お母様…」
「ドレスは最低でも30着は用意しておくべきだと思うの。後は侍女も数名」
(ああ…なんてこと)
侍女は連れて行かないで行く予定だ。
「お母様、荷物はこちらです」
「まぁ!こんな少しなんてだめよ!」
生活で必要なものだけを用意した。
学園では制服を着るのでドレスも必要ないのだが…
「どうしてワンピースではなくズボンなの?」
「動きやすいですから」
「お嬢様ぁぁぁぁ!」
これから学びに行くのでお洒落は必要ない。
服装も女性らしさよりも機能性を重視しているのでカジュアルなものが多かった。
「お嬢様…この服は」
「トレーニング用です」
「あああ!!私は…私は!!」
さらに嘆き悲しむセレナは日に日にエステルが貴族の令嬢から遠のいていくと嘆いた。
「ああ…私の愛しのエンジェルが!!」
「セレナ、お嬢様は今でも天使だ」
(クニッツ、違うでしょ)
突っ込むのはそこではない。
とは言え、このままでは話し合いも何もない。
「まだやっていたのか」
「お父様」
「何時までやっているんだ」
助け舟を出してくれたロバートに安堵する。
「何かあればすぐに私の部下が暗殺する」
(ここにも一人いた!!)
この邸に真面な思考を持つ人間はいなかった。
「貴方達、くれぐれも人の道に外れた行為をしないように」
「かしこまりましたお嬢様!」
ビシッと敬礼する第二騎士団達だったが不安は消えることがない。
新生活に早くも不安を抱く。
そもそも邸を出て学校に通うことになったきっかけは‥‥
***
一年前、12歳を迎えてすぐのこと。
「エステル、貴方遠方の学園に通ってはどうかしら」
「え?」
「貴族院や女学院ではなく平民も通う学校です」
これから先のことを考えれば貴族だけの学校よりも平民や他国の貴族が留学してくる規模の大きな学校で学んで欲しいと考えていた。
「貴方は王太子様を、そして王太子妃様を心身共に支えられるようになって欲しいのです」
「お祖母様」
「そこで婿を探すのにも丁度良くてよ」
「‥‥はぁ」
最初こそは感激したが後半部分の言葉に冷や汗が流れた。
(でも…当分は大丈夫よね?)
あれだけ派手に婚約破棄をしたのだから、こんな自分に婚約を望む馬鹿はいないと思った。
(奇特な趣味な人だけだわ)
婚約破棄の一件でエステルは自分に対する評価がさらに低くなっていた。
こうしてガブリエルの勧めでメトロ学園に願書を提出し、入学試験にも合格したエステルは新生活に向けて期待と不安を抱きながら次のステップに身を乗り出した。
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