ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第二部メトロ学園へ入学

26.図書館での会話

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見た目だけで判断した生徒達は何倍もの仕返しを受けていても懲りない人間はいる。


これ見よがしに陰湿な嫌がらせは続きエステルが来たと同時に図書館は静まり返りジロジロ見ながら陰口を言うが、本人は全く気にせず読書を始める。

「何か?」

「貴方は、何普通にしているんですか」

「はい?」

さっきから顔を顰めるジークフリートはエステルの行動が信じられない。


「あの噂のことです」

「ああ…」

何処か他人事のエステルは特に気にすることもなく読書を続ける。

「ああではなく…」

「噂の真偽はどうであれ、私を排除できますよ」

不敵に微笑むも内心では…


(排除されるつもりはないけど)

排除しようとする人間を逆に排除しているのが今の現状だ。

さっきの授業で半数は精神的苦痛で保健室に運ばれたのだから。


「僕は貴方を敵視しても軽蔑はしていませんよ。噂の真偽はともかく」

基本貴族の色恋沙汰に興味がない。

「実力でこの学園に入った貴方をすごいとも思ってましたし」

これにはさすがに驚く。
初対面の頃から敵意むき出し立ったのに。

「貴族は嫌いです。ですが貴方自身を妬み排除しようとは思っていませんでした。最初から…」

「その割には最初から突っかかって来ましたね」

「貴族にいい感情は持っていませんが、貴方が不正するとは思えなかっただけです」

眼鏡をかけ直しながら告げる。

「この学園は完全なる実力主義…まぁ教師の中にも腐った連中がいないとは言えません」

完全な実力主義でもすべてを管理するのは無理な話で、一部には不届きな輩がいる。

学園だけでなく貴族社会も同じだった。
大臣の中にもそういう人間は少なくないので何とも言えない気分になった。


「ですが、貴方のようなプライドの高い方が男に媚びるとは思えません…というか誘惑は無理でしょう」

「失礼ね」

ジークフリートはどう考えても幼女趣味ロリコン以外の男を誘惑するなんて無理な話だ。


「否定しませんわ。大体13・4の少女が男を誘惑しろというのが無理です」

「はい?」

眼鏡がずるりと落ちる。


「幾つと?」

「数えで14です」

ユラン達と同じ反応だった。

「まだ子供じゃないですか」

「一応デビュタントは済ませました」

「そういう問題ではありません」

貴族の常識はさておき平民の中ではまだ子供と言ってもおかしくない年齢だった。


(幼いと思いましたが…)


実際年齢を聞いて愕然とした。


「貴方はもう少し年上を敬うことをしたらいかがです?」

「敬える相手を選んでいます。大体幼稚な連中に敬意を持てと?」

「言い返せません」


ジークフリートも嫌がらせを目の当たりにしたので何も言えなかった。


「先日の嫌がらせは訴えなかったのですか?」

「必要ありません」

「ですが貴族様に手をだしたのでは…」

「だからです」


エステルはきっぱり告げた。


「これが子供の喧嘩ではないからこそです」

「え?」

「相手は事の重大さを解っていませんもの。学園内でなかったら一族全員ギロチンか火炙りですわ」


冷や汗をかくジークフリートは震えた。

「貴族に暴力行為をしたとなれば不敬罪です。ですが学園内の事ですから多少は多めに見ているのです」

「何故?」

「子供のすることに一々反発するなど愚かです」


どちらが子供か解ったものではない。


そうこんな風に。


「えっ…」

本を逆さまにするとページに剃刀が貼りつけられている。


「本当に暇な人」

「笑って言うことですか」

「時間の無駄だわ」


こんなことに労力を費やすならば、勉強するか乗馬の特訓をする方がずっと時間を有効に使えるのに何時までたっても学ばない。


「でも定期試験の結果がモノを言うでしょう」

「随分と自信がおありで」

「私に嫌がらせをするのに必死で勉強を怠っている方がクリアできると?」

言っていることは間違っていない。
自主学習を怠り、その時間はエステルに嫌がらせをするために費やしているので自主学習はおろそかになっている。


「試験で徹底的に潰してさしあげますわ」

「貴方はどれだけお腹の中が黒いんですか」

「なんのことだが」


本を読み終えたエステルは次の授業の準備をするべくその場を去っていった。



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