ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第三部騎士科の道

3.違和感

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教室に入る前にも嫌がらせの数々はあったがすべてスルーした。

ここまで根気強く虐めをするなんて、ある意味忍耐力がると感心する。


「暇な奴等だな」

「ある意味尊敬するわ」

一限目の授業の予習をするエステルは興味なさげにする。
エステルは優等生だが、この学園の授業は自主学習を怠ることはしたくないので抜かりはない。


「どうしたとね?」

「あっ…いえ」

さっきから机の中を探すルークにどうしたのかと尋ねるサブロー。


「教科書を忘れて来てしまって…」

「馬鹿だな、お前」

「ユランに言われたくないと」

「俺をまたデスる気か!」


この中で馬鹿はユランというのが暗黙の了解になっている。
普段の素行の悪さがモノを言うのだから文句のつけようがなかった。


「まぁ、事情を話せば大丈夫だろ」

「ユランと違ってルークは真面目とね。注意されるだけっちゃ」

「だから何で俺に当たりがきついんだよ!」

この所サブローからの攻撃が容赦がない。

「年下を苛めるからだっちゃ」

「ええ」

「一番下に言われたくねぇよ。なんならお兄様って呼んでもいいんだぜ?」

ニヤニヤしながらエステルを見て言うが…


「嫌ですわ」

「あっさり否定!」


「当然と」

三人がいつものように言い合いをする中、ルークは顔を俯かせる。


見えないようにとりだしたのはビリビリに破られた教科書と、落書きされたノートだった。


(エステルさん…)


ルークはバレないように鞄に隠した。
教科書が使い物にならなくなったことは仕方ないとして、このことをエステルにべれないようにしないといけないと思った。

ただでさえ嫌がらせを受けているエステルを苦しめるような真似をしたくなかったのだ。


(そうだ…こんなことぐらいで!)


平気な顔をしていながらも傷ついていないわけじゃない。


男として女性を守るのは貴族としても騎士としても当然のことだと教えられていたので、ルークはエステルを守ろうと思ったのだ‥‥



だが、エステルのようにルークは嫌がらせを回避する力もなくば、相手をねじ伏せる強さを持ち合わせていなかった。


「痛っ…!!」

二限目の授業の用意をしようとした時だった。
ルークはノートに紙で指を切ってしまった。


「おい、どうした?」

「ノーとの紙で…」

「大丈夫ですか!」

急いでルークの手を取る。


「少し切っただけです」

「じっとしてください」

周りにバレないようにこっそりと癒し魔法を使う。


「ヒール」


「嘘…」

「すごか…」


回復魔法は高等魔法の一つだったので二人は驚く。


魔法は術者の魂と同じで扱う者の心次第と言われている。
相手の傷を心から癒したいと願えばその想いが魔法となるとも言われている。


「なぁ、俺もヒールを…」


「貴方は薬草でも食べてなさい」


「ひどっ!!」

この扱いの差はなんなのだろうかと文句をグチグチ言うユランを無視する。


「エステルさんはやっぱりすごいです」

「凄くありませんよ、人より魔法が使えるのは学んだから。勉強もそうです」

エステルは決して天才ではない。
魔法も努力して得ただけにすぎないのだから。

「それより…」

エステルはルークに尋ねようとしたが…


「授業を始めますよ」



教師が来てしまったことで中断になった。


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