ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第四部帰省とお家事情

30.前触れ

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賑わいを見せる中、夜会を楽しむことにした。
若干一名楽しめない者もいるが、初めての夜会に心躍るアリスはキョロキョロとあたりを見渡す。


「エステル様、宮殿大きいですね」

「学園も大きかったけれど、ここは別格よ」

「はい」

エステルにエスコートされアリスは初めて見る世界に興味津々だった。

アリスをエスコートするする姿は本当に様になっていてお姫様を守る騎士のようだった。


二人に視線が注がれる。


「皆さんエステル様を見てます」

「ないわね。まぁ珍獣がいるぐらいでしょうけど」

(絶対違うと思います!)

アリスは天然であるが、エステルよりは空気が読めている。
確かに目立っているが、向けられる視線は嫌なモノではないのだから。

ただし、エステルはその視線に気づかない。
今まで散々馬鹿にしてきた連中が手の平を返したとしても嫌悪感しかないのだから。

ふと視線の席にはエレニーやリズベットにローニャがいた。


「ごきげんよう」

「まぁ、エステル様」

「ごきげんよう」

エステルは直ぐに三人に声をかける。

「先日は失礼いたしました」

「いいえ、そのような」

エレニーは頬を染めながらエステルに見惚れている。


「今日の装いもお似合いですわ」

「ありがとうございます」


作り笑いではなく微笑するような笑みにエレニーはくらくらしている。


「エレニー様、気絶している場合ではありませんわ」

「そうですわよ、今宵のダンスでエステル様に選んでいいただかなくては」

「え?」

リズベットとローニャは耳元でそっと囁く。


「何を呆けているんですの?」

「あのように凛々しいエステル様にエスコートしていただきたいと思うのは当然ですわ」

力みながら告げるリズベットは先日の事件以来エステルに夢中だった。
元よりエステルに対しては憧れの感情を持ち合わせていたので、形が変化しただけだった。


「でっ…でも」

「そんな弱気ではいけませんわ」

「そうですわ。ガサツで野蛮な殿方よりもエステル様の方がずっと素敵ですわ」


二人も高い地位の貴族令嬢として男性関係にはこれまで悩まされてきた。


軽く男性不審な傾向があるので、エステルのように女性を率先して守る姿は理想的だった。


「ああ、女性でなかったら」

「恋人にして欲しいですわ」

「お二人共…」


危険な扉を完全に開いてしまった二人はもう後戻りはできないだろう。

すっかり夢心地だった二人だったが、現れた二人組に夢はぶちこわされることになるのだった。

華やかな装いでドレスはフリルと胸元にはリボンがあしらわれ、首元にはルビーの宝石をつけ美しさを強調させていた。



「皆さん、ごきげんよう」

堂々と現れる姿は自分が女王とでも言いたげな表情でリズベットとローニャは眉を吊り上げていた。

「お姉様、ごきげんよう」

「ええ…」


笑みを浮かべるヘレンに対してエステルは内心ではまた騒動が起きるような気がして頭が痛かった。



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