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第五部見習い騎士
8.緊急会議
「それでは第二十回緊急会議を始めるわよ」
「いや、なんだよ。二十回って!」
ミシェルにより集められたのは何時ものメンバーだった。
「あの、ミシェルさん。会議とは」
「そうです。何故エステル様がいらっしゃらないでのでしょうか?」
何も聞かされていない彼等は何が何だが変わらない。
「そんなもん、エステルの事に決まってんだろ!」
「流石、悪知恵だけはいいわね?馬鹿ユランの癖に」
「貶すのやめろよ!つーか、俺を解放しろ!何で簀巻きにされてんだよ!!」
現在の状況は、ミシェルに簀巻きにされ首にロープを掛けられ逃げられないように拘束魔法までかけられているユラン。
傍にはユランの従魔となったジョセフィーヌがうねうねと足を動かし、得物を見るような目で見ている。
「シャー!!」
「ひぎゃぁぁぁ!!」
「ちょっとうるさいわよ」
現在は成長して巨大蜘蛛となっているジョセフィーヌ。
小さな蜘蛛だった頃よりも迫力が増しているのでさらに恐怖心は強まっている。
「相変わらずアホじゃ」
「おいぃぃ!!」
「まったく、声を荒げるとは美しくありませんね。生徒会の人間として品位を疑います」
「この凸凹コンビが!!」
普段は険悪な二人であるが、こういう時は粋ピッタリだった。
サブローとジークフリートを睨みながらも、手も足も出ないユランが叫んだとしても意味をなさない。
「まぁ、そんなことはさて置き」
「置くなよアリス!!」
さりげなくユランを放置して議題を進めようとするアリスに突っ込むユラン。
傍観しているルークは既に仲介に入ることすらしなかった。
「エステルさんに何かあったのですか?僕も様子がおかしいのには気づいていたのですが」
「来月私達は見習いとして王宮に行くわ」
「確か、騎士科と魔術科が見習いとして補佐をすることになっていましたね」
騎士かは騎士の補佐として。
魔術科は魔術師や魔導士の補佐をすることになっている。
「そうよ。そこで問題です」
「おい、今度はクイズかよ」
「お黙り」
「もごぉぉ!!」
口の中にリンゴを押し込むミシェルは中断させられるのを嫌がり無理矢理黙らせた。
「王都、しかも王宮には誰がいる?」
「誰って…あ」
ミシェルのヒントにアリスは顔をあげる。
アリス以外も直ぐにミシェルの言わんとしていることに気づきため息をつく。
「まずいですね」
「おう」
「確かに」
彼等は直ぐにどういう状況下になっているか察した。
「クロード殿下ですよね」
「エステルさんはどうするとね」
「どうもないでしょう?生殺し状態なのですから」
「私もクロード様が少し不憫に思えます」
普段はエステルの味方であるアリスも今回ばかりはクロードに対して同情的だった。
「殿下とは進展はないみたいですし」
「ルーク、知っていたの?」
「手紙をいただきまして…それで」
ルークは個人的にクロードと手紙のやり取りをしていたのでクロードの心情を察するのは簡単だった。
「私にも事務的な手紙は来ていたけど」
「僕もそこまで頻繁と言うわけではないのですが…エステルさんのことを心配していいらして」
(((ああ、不憫すぎる!!)))
ここにいる全員が思った。
こんなにもエステルを気にかけていると言うのに当の本人にはその愛情も優しさも伝わってないのだから当然だろうが。
「あの子、いい加減にじれったいのよね」
「つーか、この際お膳立てしちまえばいいだろ?それでダメなら諦めせればいいんじゃねぇか?」
ユランはここまでこじらせてしまっている二人の恋に終止符を打つべく案を出すも。
「ぶっ殺すわよ!!」
「ぐぇぇぇ!!」
首に結んでいる紐を力強く握る所為で首が締まり息ができなくなる。
「ミシェルさん!ユランさんが!!」
ルークが止めに入るもミシェルの逆鱗に触れてしまった愚かなユランは自分で自分の首を絞めていた。
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