ある公爵令嬢の生涯

ユウ

文字の大きさ
205 / 408
第六部貴方に捧げる薔薇

14.原因

しおりを挟む




騎士見習いとして雑務をこなすエステルは業務にもすっかり慣れていた。


エステルの働きぶりを気に入ったフリージア公爵は既に秘書官としての仕事を一任していた。


「アルスター卿、君に問う」

「はい、何でしょう」

書類に目を通しながらエステルに声をかける。
エステルも書類の整理をしながら手を止めずに返事をする。


「今年の予算が浮いた場合、君などうする」

「そうですね。まずは軍の予算を見直し、可能であれば貧しい民への援助に使います」

「ほぉ?」

「特に助成金に回したり、不作の地への救済措置をしたいです」


毎年国の為に使われる予算はあるが余ることもある。
その時にどう使うのが友好的か、下手に余ると他の貴族が使ったり、横領する大臣もいるので常日頃から徹底し管理している。

国に納められている税金を、公的なモノにどう使うか。
その使い方によって平民が理解を得ることで、今後増税をする時も円滑にできる。

「お金は残しておいて食べられませんので、お金以上に価値のあるものにすべきかと」

「なるほど…」

フリージア公爵はエステルの考えに共感する。
下手に予算で余ったお金を残しておくよりも別の形で平民達が理解してくれるように使えばいい。

その使い道は、騎士学校などの寄付や、小学校の援助。
そして農作物の為に当てれば、平民達は自分達が収めた税金を自分達の為に使ってくれるのだと理解してくれる。

「お金として残しておくよりも食料にすれば、安全かと」

(この少女は…)

フリージア公爵はエステルの聡明さに驚くばかりだった。
国家予算を寄付を偽り横領する官僚は少なくないので、その使い道に困っていた。


平民が収めた税金を勝手に使い。
教会に支払われる寄付金も年々増えて行き、不正の疑惑が上がっている。

本来寄付金を必要としている孤児院は困窮しているのに、肥しを増やしているのは大きな教会ばかりだった。


「教会にへの寄付金はどう考える」

「寄付が必要な教会とそうではない教会があります」

「では、君ならばどう使う」

予算の書類を見せられる。
国自体は赤字状態であるのに、教会は裕福だった。


(数年後国は傾く…でも貧しいのは民ばかり)


国の国庫を使い果たしたのが後の王妃とされるが、そんな多額な予算を使い切るのは不可能だった。


(国は傾き始めている)

予算を見せられ、エステルは国の財政が徐々に圧迫されていることに気づく。
先代国王も浪費家であるが、王妃とモントワール侯爵夫人が改革を行っているおかげで無駄な浪費は止められているが、赤字であることは変わりない。


(国の圧迫を避けなくては…)


毎年物価の値段が上がり国民への税金は上がる一方。
貴族や大臣達は国の赤字は税金を増やすことでまかない、負担は国民に追わせればいいと考える一方だった。


にもかかわらず貴族達は贅沢な暮らしを辞められない。
全てのしわ寄せを追う彼等は日増しに貴族達への不満を抱き、王にも不信感を抱く始末になっている。


(こうした原因も革命になったのよね…)


革命が本格的になった頃、既にエステルは投獄されていた。

幸か不幸か、牢獄の中からの方が革命が起きる原因を耳にしたのだ。


王族暗殺未遂。

国庫を圧迫させた王妃。

王妃のいいなりとなった国王。

そのすべての原因となったのは貴族派の貴族達によるものだった。

ならばその流れを変えなくてはならいと思うエステルだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】私を忘れてしまった貴方に、憎まれています

高瀬船
恋愛
夜会会場で突然意識を失うように倒れてしまった自分の旦那であるアーヴィング様を急いで邸へ連れて戻った。 そうして、医者の診察が終わり、体に異常は無い、と言われて安心したのも束の間。 最愛の旦那様は、目が覚めると綺麗さっぱりと私の事を忘れてしまっており、私と結婚した事も、お互い愛を育んだ事を忘れ。 何故か、私を憎しみの籠った瞳で見つめるのです。 優しかったアーヴィング様が、突然見知らぬ男性になってしまったかのようで、冷たくあしらわれ、憎まれ、私の心は日が経つにつれて疲弊して行く一方となってしまったのです。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛

Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。 全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...