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第八話父と娘、愛の死闘
6.決闘の申し込み
しおりを挟むロバートは言葉を無くし、普段無表情のクニッツも動揺していた。
「本気かいエステル」
「ええ」
「君が私に勝てると?」
実力の差から言っても分が悪すぎる。
見習い騎士と正騎士であり近衛騎士の団長であるロバートでは実力の差は歴然だった。
「無礼は承知です。ですが、決闘を行う決まりは互いの合意のみのはずです」
「そうだね。互いの合意さえあれば可能だ」
通常は身分の高い人間が申し込めば断れないが、その逆で身分が低い者から申し込む場合は相手が応じれば可能だった。
その為にはそれに見合うだけの対価が必要だった。
「対価には君の騎士生命がかかっている…いいだね」
「構いません」
もし負ければ騎士として生きる未来も潰される可能性がある。
その対価を差しだせと言っているロバートはあまりにも冷酷だった。
「ロバート様!」
「口を挟むなクニッツ…これは私達の問題だ」
あんまりな仕打ちにクニッツが止めに入るもロバートも真剣だったので間に入ることを許さなかった。
「君の望みは?」
「クロード殿下との婚約を認めてください」
「やはりそれか…そんなに殿下が好きかい」
今まで反抗的な態度を見せなかったエステルに少しばかりショックを受けているロバートは何故と思った。
「はい、お慕いしております」
「親に逆らってまでか」
「はい…私はあの方と人生を共にしたいと思っております」
他の人間と連れ添うなんて考えられない。
どうしての望みを叶える為には戦うしかないと思ったのだ。
「私が勝ったら殿下と別れ、決められた相手と即結婚してもらう」
「決闘の条件ならば構いません」
迷いのない瞳は剣のようだった。
「いいだろう。#決闘闘技場__コロッセオ_#で明日の明朝に」
「ありがとうございます」
正式な決闘の承諾を受けることが叶い、エステルはその場を後にした。
もう、迷っている暇はない。
悩んでいる時間もない。
(これ以上クロード様を苦しめたくない…)
同時に、ロバートに対する罪悪感が襲う。
(ごめんなさいお父様…)
こんな形になってしまったことを心から詫びながらも、ロバートを納得させるには口よりも態度で示すべきだと思ったのだ。
クロードが穏便に済ませようとしている中、時間が過ぎればそれだけ縁談話が来る。
健国際までに決着を付けなくては、無理矢理妃を迎えさせられるかもしれない。
断る理由がなければクロードは無理矢理結婚させる。
貴族派の連中は確実にするだろうという、根拠がある。
(絶対にさせない)
クロードを権力争いの道具になんてさせない。
エドワードも、アントワネットも、この国の未来をも守って見せる。
「例え私の待つ未来が破滅であっても構わない」
クロードへの愛に答える為にエステルは命がけの決闘に挑むことになる。
そしてその日の内にエステルとロバートが決闘する噂は一瞬で広まり、王宮を騒がせることとなるのだった。
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