ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第九章辺境の聖女

9異質な魔力

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アリアナが去って行きため息をつく。
あれが聖女とあがめらる存在と思うと呆れて物も言えない。

(聖女云々に問題だわ)

傍若無人で、自分の考えがすべて正しいと思っている口ぶり。
そして誰にでも分け隔てなく優しいと自身で思っているのだろうが、終始会話をしている時に気づいたのは口元が笑っていた。


哀し気な表情を浮かべながら、あれは演技だと気づいた。


(それにあの魔力…)

体全体を覆いつくし、自身だけでなく他者をも蝕むようにも見えた。
幸いアリスが光魔法の結界を敷いていたが、かなり悪質なモノだと感じる。


魔法の中には魅了や呪いも存在し、他者を自身の思うままに操ることもできる。
魅了とは言い方はいいが、麻薬と変わらないのだ。

術をかけられた本人も人体に悪影響を及ぼす可能性が高い。

(何よりあの黒い霧…私を悪夢に蝕んでいたモノに似ている)


辺境の地では人々を救い聖女としてあがめていたようだが、本当に聖女の資格があるのだろうか。


(調べた方がいいわね…)


一人思案をしおていたエステルだったが…


「「「エステル様!!」」」

「はっ…はい」


数名の女子生徒に声を掛けられ驚く。


(しまった、すっかり忘れていた)


ギャラリーがいるのを忘れていたエステル。
いくらアリスを守る為とは言え、言い方が少し厳しかっただろうかと思うも。


「流石です」

「聖騎士として選ばれただけのことはありますわ」

「胸がスカッとしました」

批難を浴びる所かむしろ逆効果だった。


「流石エステルお姉様!!」」

「「「きゃああああ!!」」」


何故かお姉様呼びをされ、歓声を浴びる始末だった。


敵意を受ける覚悟はしていたし、最悪の場合も考えていたのだが。


「アンタ、あの悪女を対峙した王子様よ」

「はい、彼女の対応で困っていた方は多かったので」


ようするにだ。
遠回しに注意しても、一切言葉が通じなかった。
何人か勇気をもって物申しても、涙を流し教師たちを味方につけクラスメイトを悪者にしたてあげられていた。


「まぁ、アンタの場合ランクも最上位だから下手に教師も介入できないし、信頼もあるから」

「なるほど…」

何処に行っても身分制度とは役に立つ。
しかも学園内で有効な身分は、在学中に功績を上げ、教師からの信頼を勝ちとったものだからだ。


「女子とは一切話さなかったし、態度も悪かったもの」

「あげく、親しくする方は…その」

アリスも言いにくそうにしながらも口を開く。


「恋人がいる方や、婚約者のいらっしゃる方で」

「ようするに身分の高い男ばっかり狙ってたってわけ!例に漏れずルークにも言い寄ってたけど」


エステルは遠い目をする。
女子を敵に回すには十分な要素だった。

あげく皆は平等だとか言っておきながら差別をしているのであれば、矛盾を感じる。


「思い込みが激しいのかしら」

「頭がスカスカでお花畑よね…あの女と一緒ね」

ミシェルが言っているあの女が誰かなんて一目瞭然なので会えて何も言わなかった。


「でも、大丈夫でしょうか」

「これで懲りるとは思わないわ。でも、一応刺激しておいたし」

「やっぱりアンタワザとね」

「ええ!」

エステルは最初からアリアナと接触するつもりだった。
もし噂のように聖女の資格があるならこの目で確かめたいし、忠告をしようと思った。

アリアナは白か黒か。


「彼女は怪しすぎるわ。故に、少しばかり仕掛けようと思います」

「はぁー…」

ミシェルは相変わらず無茶なことをするエステルにため息が零れた。

言っても仕方ないが、もう少し自分を大事にしてほしかったのだが…

「卒業前にまたひと騒動起きそうね」


今はこれ以上悪化しないように見守るより他なかった。
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