ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

28.聖なる楽器

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三種の神器の力を借り、無事に封印することができた。


「残念だが、悪魔を封じてもあの二人は」

「いいんです」


無事に封印できたが、悪魔に取り憑かれたラウルとジュリエッタは骨すら残らなかった。



「悪魔に取り憑かれ、心までも悪魔になりさがっていたのでしょう」

「ああ…あの女同様に転生することはできないだろう。女神の加護を持ってしても」

罪を犯し続けて結果、女神の慈悲ですら届くことはなく生まれ変わる事すらできないが、二人が選んだ道だった。


「それにまだ終わっていません」

「ああ、アイツを永遠に封じる」

アルフォードの慰めも今は意味がなかった。
悲しむのは全てを終わらせてからにしなくてはならない。


「三種の神器を使ってあの男を封じる」

「どうしたらよいのですか?」

「天に向かって掲げろ」


エステルとヒューバートは天に向かって槍と玉を掲げると光に包まれる。


「きゃああ!」

「アリス!」


光はアリスの胸に向かい光の柱に囲まれヴェールに包まれる。


「綺麗…」

「これが聖女が祈りに纏った聖衣だ」


修道服に似た服装だが、とても神秘的だった。


「聖女の歌は悪をも浄化する。そしてその浄化を強くするのは音楽だ」

「えっ…槍が」

「聖なる歌に捧げる楽器だ」


エステルの手に現れたのは銀色の美しい竪琴だった。


「なんて美しいの」

「これが聖女がかつて死者に奏でた竪琴だ。そして竪琴をより引き立たせる黄金の笛だ」

アルフォードの手には黄金のフルートが握られている。


「くくっ…なるほど。ならば俺はさぞ素晴らしい楽器があたえられるのであろうな!ヴァイオリンか、いやチェロも捨てがたい!」

ヒューバートは調子に乗っていた。
エルキネスから最も重要な三種の神器を託されたのだからさぞ素晴らしい楽器を与えられたに違いないと思っていた。


「さぁ、来るがいい!我が手に究極の楽器を!」

大笑いをしながら告げるヒューバートに一同は呆れる。

「馬鹿じゃないのアイツ」

「ああ、馬鹿だな」

ミシェルとユランは思った。
在学中から弦楽器に木管楽器と金管楽器の成績は最悪だった。

辛うじてだ楽器は合格ラインだった。


「ヒューバートさん、ヴァイオリンなんて弾けますかね」

ルークが疑問を口にするも全員の心が一つになってサラウンドで否定した。


「「「無理だろ」」」


例えどんなにすばらしい楽器でも奏でることができなければ使い物にならないはずだ。


本当に大丈夫かのか心配になる中、ヒューバートの楽器が現れた。


「くくっ…これが俺の楽器だ!」

声高らかに見せた楽器はとても意外な物だった。

ある意味ではヒューバートに最もふさわしい楽器でもあった。
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