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第一章婚約破棄と勘当
8.本性
しおりを挟む――すべては計画的だった。
「私は貴方を愛したことは一度もありません。散々破廉恥な行為を強要されて平気で入れましょうか!」
「なっ…破廉恥だと!」
「人の胸をジロジロ見たり、腰に手を置きながらもドレスの中に手を入れようとして…汚らわしい!」
リーンハルトは呆然と立ち尽くした。
公の場でここまで言われてしまえばどうなるか解りきっていた。
「リーンハルト!お前という奴は…」
「婚約者の妹を無理矢理襲うなんて…なんて汚らわしい!最低の行いですわよ」
リーンハルトの両親は真実を知り絶句し、息子を軽蔑した。
特に嫌悪感を現したのは姉だった。
「この馬鹿者!お前など勘当だ」
「姉上!」
「姉など呼ぶな。汚らわしい…今後一切お前とは姉弟でもないのだからな!」
当然と言うべきか、家族はリーンハルトを勘当した。
他の貴族達も距離を置いている始末だ。
「こうなった以上は…仕方ありませんな」
「ええ、次期侯爵家のの跡継ぎの婿には相応しくありませんわ。まったく」
ここでリーンハルトだけを悪者にしようとするが、そうは問屋が卸さなかった。
「クスクス、おかしいわね」
「え?」
「どうして私が侯爵家の跡継ぎになるのかしら?」
「何を言っているの?」
母親がリリーの言葉を聞き返した。
「だって私は侯爵家の跡継ぎに慣れないのに、さも御当然のように跡継ぎにするなんてちゃんちゃらおかしいですわよお母様?貴族の常識を知りませんの」
「は?」
「だって私はフェルスター家の血筋を一滴たりとも受け継いでませんわ。貴族の家督を継ぐのは長子であり、血筋が優先されますのよ?お父様は婿養子でしかない…つまりお義姉様の紐ですわ」
「ひっ…紐…」
ここで令嬢らしくない言葉が飛び通う。
育ちのいい温室育ちの令嬢や令息は意味が解らないでいた。
「お義姉様が跡継ぎにならないのであれば、次の跡継ぎは義叔父様ですわ。そうなれば私達は侯爵家から出て行くのが筋でございますのに…何を馬鹿な事を?常識でしょう?」
「リリー!」
「お前は私達を愚弄する気か!」
「そんな…私は当然のことを言ったばかりですのに…」
ここで涙を流し頭を抱える。
「また殴るんですか…怖いですわ!」
「なっ!」
「ちょっと!」
恐々と涙を浮かべながら咄嗟にショールを落とした。
肩には痣がでいていた。
「リリー、その傷は…」
「お義姉様…私」
コーデリアは真っ青な表情をしながらリリーに駆け寄りショールを掛けなおす。
「お父様、リリーにも私と同じような真似をなさったの?どうして…リリーを溺愛さなっていたのに!」
「馬鹿を言うな…どうして私がそんな真似を!傷がついたら使い物にならないだろうが…」
「貴方!」
うっかり口を滑らせてしまう愚かな父親にリリーはかかったと思った。
「やっぱりそうだったのですね!お義姉様を追放した後は私は操り人形にするおつもりで…お二人は所詮私を利用すルだけの道具…知っておりました」
コーデリアにしがみ付きながら肩を震わせて泣き出す。
勿論大声を上げて泣くのではなく健気さを演出してだ。
「なんてこと…あまりにも酷すぎではありませんか!」
「ええい、黙れ!お前など所詮は金蔓でしかない癖に口答えをするな」
「私は貴方の道具ではありません!」
「黙れ!誰のおかげで裕福な暮らしができたと思っている!子供など親の道具だ。親のいいなりになっていればいいのだ!お前等誰も愛してはいない…お前なんて生まれてこなければよかったんだ!このゴミが!」
決して親としては言ってはいけない事を告げた。
しかも隣国の貴賓達が出席する場所で告げた所為でパーティーは無茶苦茶だった。
しかし、完全に我を失っている所為でさらに告げた。
「お前達は勘当だ!今すぐ出て行くがいい!道端で野垂れ死ぬがいい」
感情に任せて放った言葉で会場の招待客はさらにざわめき、批難の声を上げ始めた。
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