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第一章婚約破棄と勘当
9.最後は潔く
しおりを挟むここまで来たら流れは変えられない。
取り消しも不可能な状態まで来ていたので、リリーは顔を上げる。
「解りました、私は家を出ます」
「リリー…私も一緒に家を出るわ」
涙ながらに二人は手を取り合った。
その姿は互いに支え合う美しき姉妹の姿そのものだった。
「何所が険悪なの」
「仲睦まじいしまいじゃないの」
「誰だ、二人が不仲だなんて流したのは…それにしても最低な両親だな」
二人の触れ合いを見て噂は全てでっち上げたのだと知るお貴族達。
もしかしたら侯爵家の財産を欲しいばかりに両親とリーンハルトが共謀したのではと思い始める。
実際、不義を働いていたリーンハルトであるし、公衆の面前で幾度なくコーデリアを蔑ろにしていたのを目撃した者も多くいるのだから。
「参りましょうお義姉様」
「ええ」
二人は手を取り合いながらその場を去って行く。
「待ちなさいリリー!外で生きて行けると思っているの!温室の花は外では生きれないわよ」
「私は温室の花ではありません。野に咲く平凡な花です…風と一緒に自由にいきます。さようなら」
「リリー!」
止めるのも聞かずにリリーは背を向け振り返ることなくコーデリアと共に去って行く。
誰もが道を開け二人の旅を見守るような視線だった。
反対に、散々暴言を吐き散らした二人には冷たい視線が送られる中。
「とんだ茶番劇だな」
「「「陛下!」」」
終始静観していた国王が宰相と共に現れる。
その傍にはオルフェウスと妻のサブリナもいた。
「大事なパーティーを台無しにして、あろうことにも私の許可なしに婚約破棄とな?そなた達は何時から王よりも偉くなったのか聞きたいものだ」
「陛下…いえ、これは…」
「あげく血の繋がった娘になんという真似を!お前達は人の皮を被った悪魔か!」
国王は子を持つ身として、許せるものではないと思った。
「何よりそなたは、次期侯爵の父親でしかないはずだが…後継人はオルフェウスに一任されているはずだ」
「ええ、私も初耳でしたな…どううことかお教えいただけますかな?カルバドス殿?」
既に義兄とは呼ぶ気も一切なかった。
「しかし、コーデリア嬢が侯爵家の跡継ぎにならないならば、次期跡継ぎはそなたになる」
「そのようですな」
「なっ…そんなこと!」
ありえないといちゃもんを付けようとするも、聞き入れられるはずもない。
「下がれ!貴様は誰に向かって口を挟んでいるのだ…平民となる身で無礼な」
「平民?そういうことですの!」
隣で真っ青な表情をするミディアが尋ねた。
「そなた達は貴族籍から除籍する」
「そんな!」
「長きに渡る娘達への虐待、そして元婚約者のリーンハルトは婦女暴行未遂の容疑もあるのでな?」
「違います…誤解です!」
公の場で糾弾される三人はそのまま騎士に拘束され連行される。
最初こそは抵抗されるも力で勝てるはずもなかった。
こうして茶番劇は幕を閉じることになるのだった。
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