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第二章新生活
5.協力者は夫
しおりを挟む幼馴染同士でもある故に、リリーの性格は熟知していた。
普通にロマンチストな愛の告白を考えようにも、貴族の生活が原因で少しばかり性格をひねくれてしまったので、正統法では上手く行かなかった。
現に、元貴族だという事をかぎつけ、領主の邸で働いていた頃に使用人の数名が声をかけたが、撃沈しているのを目の当たりにしていた。
なので、なりふり構ってられなくなった。
誰かに取られるぐらいならば、かっこわるくても良いと思ったのだ。
自分にできるのはパンを焼く事だけ。
ならば、これから美味しいパンをリリーの為に作り続けるから結婚して欲しいと言ったのだ。
友人には呆れられたのだが、求婚代わりに渡した最高の傑作パンを差し出して一世一代の告白をしたら、結婚の了承を得た。
これには見守っていた友人にも突っ込まれたが、本人同士は幸せだった。
母親のマリラも頭を抱えたくなったが、根っからのパン職人の息子の相手をできるのは幼馴染だったリリーぐらいしかいないだろうとも思ったので二人の結婚を許したのだ。
その後はトントン拍子に話が進み、二人の結婚式をするべく奔走してくれたコーデリアには今でも感謝している。
ただ、リリーの憂いはコーデリアの幸せだった。
結婚したから幸せになれるとは限らないけが、結婚しなかったから不幸になるわけではないことを解っていても、コーデリアを守る為にも必要だった。
だからこそ二人は、結婚してからも考えていた。
コーデリアを守ってくれそうな男性を吟味しながら考えていた。
しかしながら、コーデリアに思いを寄る男は少なくない。
なんせ、北の領地を預かる伯爵家の家庭教師に抜擢されただけでなく所作の美しさで見惚れる男は少なくない。
例え平民になっても気品と育ちの良さは隠せなかったのだが。
どの男も、リリーのお眼鏡に叶わないのだった。
ただ一人を除いては。
「とにかく私達でお膳立てをしてあの馬鹿が何もしないならそれまでよ」
「何もしなかったら?」
「ふっ…それは決まっているでしょ?」
ニヤリと笑うリリーにラスティ―は何も聞くまいと思った。
「本気で姉様が好きなら何が何でも姉様を振り向かせる手を考えるでしょう?」
「お前は鬼か…内向的なアイツをけしかける気か」
「なんとでも言って。万一寄生虫が強引な手を使った時に姉様を守る覚悟なかったらどうするの?」
「既に寄生虫か?」
「あ…寄生虫に失礼ね」
さらに下げたリリーにラスティ―は思った。
ここまで恨まれるなんて一体何をしたのだろうか。
そうこうしている間にも、仮面舞踏会当日を迎えることになるのだった。
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