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第一章廃嫡と婚約解消
1きっかけ
しおりを挟む王太子として過ごした時間は窮屈だった。
それでも精一杯務めて来たが誰にも理解できない悲しさが蓄積されて来た。
天才ではない秀才型だった。
生まれ時から国の為にあれ、民の為にあれと言われて来た。
だけど、本当は息ができなくて苦しかった。
そんな中、花を育てるのが好きだった俺は幼い頃から庭師に頼んで庭園に遊びに来ていた。
だが、王子が土弄りをすべきではないと周りから責められた。
勉強をサボっているわけではない、誰かに迷惑をかけているわけでもなく。
せめて婚約者であるマリアンナには解って欲しかった。
だけど。
「そんなことは殿下のすることではありませんわ」
「けれど君も花が好きだと」
「私はこんな下品な花は嫌いですわ」
一番好きなマーガレットの花を花束にしたが嫌いだと拒絶された。
だけどその後すぐにアルセウスが薔薇の花束を贈り、マリアンナを喜ばせていた。
使用人達は俺を冷めた目で見て、女性の接し方が解らないのかと言い出す始末だ。
恥ずかしくて情けなくて辛かった。
それ以降贈り物をしてもマリアンナを喜ばせる事は出来なかった。
幼少期の俺がただ純粋に彼女に喜んで欲しくてした行動は全て裏目に出ていた。
それでも婚約者として。
幼馴染として大切に思っていたがいつの日か、厳しい目で見られるようになった。
何をしても完璧なマリアンナ。
努力しないとダメな自分を情けなく思いながらもマリアンナは天才と賛美されていた。
大人顔負けの才を持っている。
だから少しでも追いつこうとしてもダメで使用人からは馬鹿にされる日々だった。
そして十年の月日が過ぎた頃。
俺はある少女に出会ったのだった。
ステラ・レイトン。
貴族ではなく平民である彼女がこの学園に入る事は稀だった。
相当な努力をしたことが伺える。
平民と貴族では学ぶ場が違い過ぎるのに、彼女はノートに書き込みをして精一杯努力をしていた。
その時俺はなんて情けないんだと思った。
彼女に比べれば自分の努力なんてしれているじゃないか。
もっと頑張るべきだ。
そして同時に、平民でも優秀であるならば活躍できる場を与えるべきだと思い、社交界を変えなくてはと思った。
だが俺は王太子だ。
平民に肩入れし過ぎるのは良くないことを指摘された。
ただこの時は、特別な感情を持っていたわけじゃないんだ。
彼女のように頑張っている人間を評価したいと思ったのに。
「殿下、その女子生徒に好意を持つが故ではありませんか?ご自分のお立場をお考え下さい」
「マリアンナ、私は…」
「貴方はこの国の王になる方ですわよ?平民の事ばかり気にしていて大臣を納得させられますか?そんな暇があるならもう少し良き改革案を出してください」
蔑んだ目で言われ、先月に考案した改革書類を返された。
この時からだ。
俺はマリアンナとはもうダメだと。
そう思い始めていた。
それから俺は事あるごとに彼女と衝突をした。
解って欲しい思いと解りたいという思いが交差して完全に決別する事になった。
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