悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ

文字の大きさ
9 / 129
第一章廃嫡と婚約解消

7母

しおりを挟む



母上は俺に抱き着き泣きながら声を上げていた。


「貴方が今までどれだけ頑張っているか母は知っています」

「え?」

「私が腹を痛めて産んだ子でなくとも、我が子同然に育てて来ました。貴方は今も昔も私の自慢の息子です」


俺は前王妃の息子で母は身分が低かった。
対する後妻の義母は王族の血筋を持っており、アルセウスの方が王太子に相応しいと思うのは当然だった。


建国が始まって以来の神童と謳われるアルセウスに対して俺は凡人だ。
今まで王太子でいれたのは俺の実力ではなく、俺の周りの人間が優秀だったからだ。


「母上、私は…」

「ずっと見ていました。フィルが頑張っている事を…しかし私も立場上過度に貴方を庇う事はできませんでしたし私は貴方には王は無理だと思っていました」

「それは…」

俺が出来損ないで血筋も良くないから。


「貴方は優し過ぎた」

「え?」

「王にはあまりにも不釣り合いの心を持っていました。なのに王としての資質は陛下以上にあるので」

「おい!」

「貴方は黙っててください!」

「はい!」


母上が怒鳴ると父上は大人しくなる。


「私は貴方にも怒っているんです。まだ幼いフィルを私から取り上げて…しかもアルセウスばかり可愛がって!」

「しかしだな…後に補佐として」

「貴方が甘やかすからあの子は自分の立場を忘れてつけあがったのです!兄を敬う事無く兄の婚約者と通じるなど。マリアンナ嬢に関しても私は許せません」

「母上、彼女は…」

「確かにフィルのした事は問題ですが…先に貴方の思いを踏みつぶしたのは誰です」


踏みつぶしたって。
そこまで言う必要はないだろ?


「王太子妃に求めるのは優秀さではありません。常に夫の心に寄り添えるかどうか。ある程度の教養は必要ですが」

「だが、既に廃嫡を自ら宣言しては…」

「この程度の事で狼狽えるとは何事です。本当に情けないですわね」

母上酷いな。
俺が言うのも何だが、母上からすればこの世の全ての男が甲斐性無しになるんじゃないか?

マルシェに関してもだが逞し過ぎるだろ。


「これよりフィルベルトに北の辺境伯爵の爵位を与えます」

「え?」

「北の領地は隣国のエリンデール王国のすぐ側です」


ここから北の最果て。
北の領土はランタニア王国の中でも独立している。

今でこそ一つの国となっているが、未だに王族に不満を持つ者が多く。
独立を得ようとする壁に双方を挟まれた領地がエレンフリークと呼ばれる領地だった。


その領地に行くことは袋の中の鼠も同然。

「公爵も、ここまですれば納得するでしょう」

「王妃陛下!あんまりではありませんか」

「宰相、他に方法があって?」

「ですが…」


表向きは俺を追放にして辺境地を収めさせるつもりだ。
出来なければそれまでという事になる。


「北の領地はあらゆる問題を抱えた領地、そこで半年耐えなさい。できるだけ早く迎えに行かせます」

「一か月持った者がいないのですぞ!」

「だからです。いいですね」


これが最大の励ましと情けだ。
俺を守る為に母上はあらゆる手を使ってくれたのだろう。



しおりを挟む
感想 164

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

無自覚人たらしマシュマロ令嬢、王宮で崇拝される ――見た目はぽっちゃり、中身は只者じゃない !

恋せよ恋
ファンタジー
 富豪にして美食家、オラニエ侯爵家の長女ステファニー。  もっちり体型から「マシュマロ令嬢」と陰口を叩かれる彼女だが、  本人は今日もご機嫌に美味しいものを食べている。  ――ただし、この令嬢、人のオーラが色で見える。  その力をひけらかすこともなく、ただ「気になるから」と忠告した結果、  不正商会が摘発され、運気が上がり、気づけば周囲には信奉者が増えていく。  十五歳で王妃に乞われ、王宮へ『なんでも顧問』として迎えられたステファニー。  美食を愛し、人を疑わず、誰にでも礼を尽くすその姿勢は、  いつの間にか貴族たちの心を掴み、王子たちまで惹きつけていく。  これは、  見た目はぽっちゃり、されど中身は只者ではないマシュマロ令嬢が、  無自覚のまま王宮を掌握していく、もっちり系・人たらし王宮譚。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 エール📣いいね❤️励みになります!

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

処理中です...