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第三章雇われ国王物語
11傾国の問題
しおりを挟む話し合いは終わった。
だが問題が多すぎて頭を抱えたくなる。
「何だこれは!」
「今まで無事だったのが奇跡ですね」
リーシェとは形だけの婚約をする事になり。
俺はナツメと共にエリンデール王国の財政を確認したが今まで国が沈まなかったのが奇跡だ。
食料の不足。
干ばつの問題に軍事資金と人類至上主義同盟国から協力できないなら相応の資金の要求。
彼等が狙っているある島。
そこを渡すか、多額の資金を渡すかの二つに一つだが。
どれも無理だ。
人類至上主義を貫く国がエリンデールの中心部のコロンボ島を奪われたら国を奪われたも同然だ。
あの島を制圧されたら敵国は好き勝手する。
とは言え、戦争に対抗するだけの軍事力がなければ戦争をふっかけられる。
既に輸入も止められ、国民を餓死させられたく無くば従えと言っているそうだが。
「ここまで酷くなるまで放置とは何を」
「放置ではなく、裏切者がいたのだろう」
「しかしここまで用意周到とは」
頭が痛いな。
最悪の状況下で俺に助けを求めた理由が解る。
万一敵国と婚姻を結べばどうなるか安易に想像できる。
「しかし無駄な物が多いのでは?こちらの品を売ればいいのでは」
「ああ、国の宝か。最低限の物を売るか」
国宝級の物であるが過去の栄光だ。
それに王妃の王冠や、王家の権威に関わる品以外は売り払うべきだ。
「後は他国の商人が法外な金額で売買をしてますね」
「ああ、食料困難故だな。そこはなんとかしよう」
エリンデールは自然が多い。
文明の発展が遅いが、海産物が豊作だ。
「一番の問題干ばつか」
「はい、雨を降らしてやる等と狂言を申して脅しておりますね」
雨を降らせる魔導師なんていない。
敵国や正教皇国等ではできると信じ込んでいる一部の者がいるらしいが。
「干ばつは報いだなんて馬鹿げている」
「自然現象であっても民達は神の怒りだと思っているでしょうね」
知識がない民からすればか…。
「早々に問題の領地に調査を向かわせよう」
「どうされるのです」
「干ばつになるには原因がある。ば、森林を過剰に伐採したりした場合もある。人為的な物もあるからな」
「フィルベルト様…貴方様は時折聡明なのか愚かなのか解りませんね」
「泣いていい?」
本当に情け容赦がないな。
少しは優しくしてくれてもいいじゃないか。
「後は税金をこれ以上増やすのは却下だ」
「重税はこれ以上無理です。ならば貴族から」
「ああ、お前の出番だ」
重税をしなくても方法はある。
ただ、国民から取るのではなく私服を肥やしている連中から取れば良い。
普通に貴族から取るのは少しばかり頭を使わないといけないが。
方法はある。
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